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美しいカケスの羽

投稿日 2023年10月19日

カケスの羽1.jpg

カケスの羽

瑠璃色のグラデーションが美しい

風切り貼根と思われる

山を歩いているとときどき見かける鳥「カケス」。いや、見かけるというよりは、鳴き声が聞こえるので存在を知ると言ったほうがよいかも知れない。ただ、ほんとうにたまにカケスが前方の高い木の枝から枝へ飛び移る姿が見られたりする。

カケスは山では比較的大きい鳥である。カラスの仲間だが、カラスほどは大きくない。都会の公園とかでも見られる「ヒヨドリ」くらいでだが、ヒヨドリよりはほっそりしている。そして何より特徴的なのは、枝にとまっているとき身体側面に現れる瑠璃色の縞模様。風切り羽の一部だろうか。うす茶色の体にその瑠璃色の縞模様は、遠目でも確認できる。この特徴はその鳥がカケスであることを同定させるのに十分だ。

カケスの羽3.jpg

新山野の鳥 (日本野鳥の会) より

カケス

風切り貼根の根元のほうに瑠璃色の模様がある

鳴き声は残念ながらきれいなものとはお世辞でも言えない。「ギャーギャー」とか「ジャージャー」とか聞こえる。山では姿を見るよりは、この鳴き声でカケスの存在を知ることが多い。

 

カケスは世界的にみるといくつかの種があるだろうから、北米では、英名「Jay」(ジェイ)という。「ジェーィ、ジェーィ」と鳴くからだと、もっともらしい説もある。アメリカンリーグのベースボールチームの「ブルージェイズ」(本拠地はカナダのトロント)は、アオカケスのことで、チームマークはアオカケスの横顔である。この北米に生息するアオカケスは、頭の上にトサカ状に羽が逆立ち、体全体が青いので、日本で見られるカケスとは別者のようだ。

カケスの羽2.jpg

トロント・ブルージェイズのHPより

先日山に登ってその下山途中。カケスの羽がバラバラになって散乱しているのを見つけた。すぐにその特徴からカケスの羽だと分かった。猛禽類、とくにフクロウなどに捕食されたのだろうか。体は無く、羽だけだったので、ここで襲って、どこかに持って行って食べたのだろう。カケスにとっては災難な現場であった。

山を歩いているとこのような現場はときどき見られる。カケスは初めてだったが、何らかの鳥の羽や羽毛が散乱していたり、獣の毛のようなものが散乱していたりする。そこで何があったのか想像してみるが、自然界は弱肉強食であることを思い知らされる。

​散乱していたカケスの羽から一本いただいてきた。何度眺めても美しい。ネットでさりげなく調べてみたら、なんとそのような羽が売られているではないか!一本1000円もしている。どうやら釣りの毛針に使われるようだが、このような希少なものを売買するのはいかがなものだろうか。しかし、このような瑠璃色の縞模様が人間の手で模倣できるとも思えない。

​自然界は人間の価値観とは別の次元で動いている。

(雅熊)

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