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ときがわ町宿からブナ峠、日向根 2021年01月20日 晴れ 単独

投稿日 2021年01月21日​

大寒のこの日、昨日までの強風は止んで穏やかな晴れとなりました。今回は埼玉県比企郡ときがわ町西平の宿(しゅく)からブナ峠を目指しました。

西平辺りは木工の町として有名で、昔からこの辺りは江戸に近い木材の産地として栄えていたようです。今でもそこかしこに材木を扱う小さな工場が点在しています。宿の交差点から北の山側の林道を登ると坂東三十三ヶ所霊場の古刹慈光寺があります。南へ歩けば流鏑馬で有名な萩日吉神社があります。西へと進むと堂平山に至ります。

 

江戸、川越から秩父へ向かう巡礼者は、飯能から吾野、正丸峠を越えて秩父に入るメインストリートのほか、慈光寺に寄ってから入るケースも少なからずあったようで慈光寺に寄った巡礼者は、宿から馬生(ばしょう)、日向根(ひなたね)と辿ってブナ峠を越えて秩父に入ったようです。その証拠にブナ峠には四方向の道しるべが今でも残っています。その道しるべには、

「子のごんげん江 志こうミち たか山ふとう江 ちちぶ一ばん目江 安永三年」

(さきたま双書「峠 秩父への道」より)

とあります。小さな道しるべ石で、小生には読み取れませんが、標高780mほどのブナ峠が子ノ権現、慈光寺、高山不動、秩父札所一番四万部寺へ通じる道の交差点であったわけです。

今回辿ったルートは宿から馬生まで車道を歩き、馬生の全長寺入り口にある石碑のところから尾根に取り付き、新棚山のある尾根伝いに越沢稲荷の大杉に至り、そこからブナ峠を往復。大杉に戻って日向根、多武峰(とうのみね)の集落を見て馬生、宿に戻るルートです。総歩行距離は16kmですが、林道、車道歩きが多いです。所要時間は6時間です。

宿のトイレとバス停がある駐車場をお借りしました。慈光寺に行くにも便利な駐車場です。宿の交差点を南に向かいます。小学校で萩日吉神社への道と分かれ右に進みます。馬生のバス停を見たら全長寺の入り口は間近です。日当たりのよい尾根の末端に石碑が並んでおり、その先の道路傍に尾根に取り付く道が入っています。

尾根に取り付くと深くえぐれた窪状の道になります。昔頻繁に使われた形跡だと思いますが、地図を見るとウマミチとなっています。馬が通ったのでしょうか。上の新棚山の手前まで窪状の道は続きますが、上部は窪に倒木が倒れ込んでいて通過できないところも多く、また一部不明瞭です。あまり登山には使われていないようです。尾根筋に出たら道は安定します。

新棚山を越えて少し下ると峠状の場所に降り立ちます。左右からここを越す道も明確ですので、今でも使われているのかも知れません。下山時に多武峰の集落手前の車道脇に登り口があったのを確認しましたので、使える道かも知れません。峠状からゆるく登り返すとP482です。歩きやすい道でスピードもあがります。

前方にしめ縄を巻いた大杉が見えてきます。根元に越沢稲荷があります。ここは日向根の上で、日当たりが良く暖かい場所です。山猫電鉄のバス停「稲荷前」がありました。どこかで見たようなバス停です。猫バスは来るでしょうか。トイレもあります。ここは峠のようで北側に降りて行く道もあります。越沢稲荷からブナ峠までは広い道になりますが、部分的に溝状にえぐられています。途中の向尾根(むこうおね)方面に下る道が分岐するところから簡易舗装のよい道になります。ただしこの道はブナ峠で車両通行止めになっていましたので一般車は使えません。

林道には途中、「砥石のオオヒノキ」と「おそよ地蔵」があり、往時がしのばれます。ブナ峠には四方向の道しるべのほか、石田葉郷の歌碑がります。「万葉を 顧みるべし 山毛欅峠」と刻んだ歌碑が道しるべの奥にあります。すぐ上の丸山まで足を延ばし昼食をとって同じ道を戻りました。下山は越沢稲荷から日向根方面に降り、車道を多武峰、全長寺と辿って馬生、宿へと戻りました。

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埼玉比企郡ときがわ町宿から馬生へ。尾根伝いに新棚山からブナ峠へ

下山は日向根、多武峰を通過して宿に戻るルート

赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

 

 

主な通過時刻:

宿の駐車場 8:26
馬生の尾根取り付き点 8:55
新棚山 9:55
越沢稲荷、大杉 10:22

ブナ峠 11:36

丸山 12:06 (昼食)

越沢稲荷、大杉  13:05

全長寺上 13:44

宿の駐車場 14:30

 

所要時間:6時間
総歩行距離: 16.0km​
 

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宿の交差点にある道しるべ

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馬生の尾根取り付き点

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ウマミチの様子

​窪状の道が尾根筋まで続いている

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新棚山

赤く塗られた三等三角点

​ペンキを塗るのは器物破損行為ではないだろうか

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越沢稲荷の前にある大杉

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大杉の横にある山猫電鉄バスの「稲荷前」バス停

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大杉からブナ峠方面は溝状の歩きにくい道だが

ここから左下から道が合流し、簡易舗装のよい道になる

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砥石のオオヒノキ

この先に「おそよ地蔵」がある

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ブナ峠

右の林道が登ってきた道

​左上に石田葉郷の歌碑と四方向の道しるべが見える

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日向根の様子

​日当たりがよく暖かい

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日向根の様子

(雅熊)

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