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秩父長瀞 法善寺から塞神峠、岩根神社、金ヶ岳周回 2021年01月09日 晴れ 3名

投稿日 2021年01月11日​

2021年が明けてすぐに強烈な寒波がやって来ました。関東地方は台風並みの強風が吹き荒れましたが幸い積雪は無く、登山を予定していた9日は穏やかな冬晴れとなりました。しかし強烈な寒さは残っていますのであまり遠征はできません。そこで今年初めての山として近場の長瀞(埼玉県秩父郡長瀞町)の山を選びました。

秋の七草寺のひとつであり、枝垂れ桜でも有名な法善寺の駐車場をお借りし、風布(ふうぷ)、阿弥陀ヶ原、大鉢形、蕪木(かぶらき)、植平(うえびら)などの山里の点在する中を塞神峠(さいじんとうげ)へと登り、稜線を仙元峠、植平峠、葉原峠(はばらとうげ)へと進んで、岩根神社に寄り、金ヶ岳に廻って春日神社から法善寺に戻る周回ルートで登りました。

標高は500m前後で距離にしてわずか1.5kmほどの稜線に塞神峠、仙元峠、植平峠、葉原峠と4つもの峠が並んでいます。現在は行政区画として稜線の西側が埼玉県秩父郡長瀞町、東側は埼玉県大里郡寄居町となっていますが、昭和17年ごろまでは秩父郡が今の寄居町のほうまで広がっていて、この稜線を含む一帯は秩父郡白鳥村というひとつの村でした。今のような外秩父という概念は無かったようです。村の中心は役場や小学校があった長瀞の井戸辺りで、東側に住む人たちや子供はこれらの峠を利用して通ったようです。

稜線の西側にも東側にも風布という地域がありますが、元はひとつの村に属していたということになります。ただ地形的には少々無理があったのかも知れません。古く江戸時代中後期から明治にかけて荒川の波久礼辺りが難所であったため、秩父巡礼者などは熊谷宿から寄居を経由して釜伏峠を越えていたようですが、おそらく東側の金尾から葉原峠を越えたり、小林から植平峠、風布、扇沢から仙元峠や塞神峠を越えて井戸などへ下りることも多かったのではないかと推測します。とくに大鉢形から塞神峠へ至る道の途中に馬頭観音があることから、馬の通過もできたのではないかと思われます。また、この辺りは秩父事件の秩父困民党がいち早く立ち上がった土地でもあります。これらの村落と峠についてはさきたま双書「峠 秩父への道」大久保茂著 平成7年初版がくわしいです。

 

今回辿ったルートの中では、県道82号から塞神峠に至る道は「関東ふれあいの道」の一部でもあります。このため道標がしっかりしており、また菊水岩(きくすいいわ)や、困民党の説明看板などが整備されています。山内の道は各村落を結んだり、その中を林道が通過するなどして複雑ですが、以前からの古い道標が的確な案内をしてくれるので迷うことは無いでしょう。

法善寺から大鉢形の村落までは舗装の林道歩きです。最後のS字カーブで高度をかせぐと民家が見えてきます。一段上の民家の庭に入りそうな道に入ると道は鋭角に左に曲がり、白い土蔵とゆずの木の横を通過して山道に入ります。秩父困民党の説明看板があり、笹薮から冬枯れの明るい尾根道となります。馬頭観音を見て、大きな杉の根元の塞神の石碑の前を通過したら林道と合流し塞神峠に至ります。塞神峠から明るい落葉樹や植林の杉が混ざる稜線を仙元峠、植え平峠と進んで、葉原峠で再び林道に降り立ちます。今回間違えて仙元峠の浅間神社の社を右奥へ進みましたが、社の前を通過して回り込むのが正しい道です。

葉原峠からは林道を下って岩根神社に向かいました。途中T字路を右に進み更に下っていくと岩根神社です。ツツジの名所ですから5月ごろ訪れるのがよいと思います。神社は大岩の基部にあり、神木の大杉が立っています。狛犬はオオカミでしょう。社にお犬様の札が貼ってありました。境内の東屋で昼食をとり、さっきのT字路に戻って金ヶ岳に廻りました。よく踏まれた尾根道でちょうど岩根神社に対峙する尾根を歩く感じです。石碑のある金ヶ岳を越え、次のピークに着くと大きな社の春日神社が鎮座しています。ここは井戸などの麓の町から立派な鋭鋒として見えているピークです。春日神社から法善寺に向かって下るには、金ヶ岳の下にある道標まで戻って一般道を下るのが本来ですが、我々は直接下る道を選びました。この道は不明瞭で、とくに沢筋に降りる直前で迷いやすい場所があります。我々は右側に少し廻りこんでしまいました。沢筋に下りるのが正解ですが沢筋は荒れています。やがて道標があって一般道と合流します。そのあと法善寺までは快適で、県道に出るところに石の鳥居があります。

ひとつ特筆すべきは、この山域が三波川変成帯の一部であるため、緑色の緑泥片岩が見られる点です。それも一部ではなく露岩や転がっている石のほとんどがきれいな濃い緑色の緑泥片岩です。春日神社から下って法善寺に戻るまでの沢筋に岩盤が露出しているのは見ものです。

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長瀞 法善寺から塞神峠、葉原峠、岩根神社、金ヶ岳と周回するルート
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

 

 

主な通過時刻:

法善寺駐車場 7:55
阿弥陀ヶ谷入り口と大鉢形方面分岐にある公民館 8:39
大鉢形の白い土蔵 8:58
塞神峠 9:18
葉原峠 10:08
岩根神社 10:33 (昼食)
金ヶ岳 11:42
春日神社 10:50
法善寺駐車場 12:36

所要時間:5時間
総歩行距離: 10.3km​
 

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長瀞の法善寺(帰着時撮影)
秋の七草寺、枝垂れ桜で有名
この右側に駐車場がある

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菊水岩
菊水紋に似た褶曲面の路頭

関東ふれあいの道途中にある

​現場は少し荒れ気味なので足元注意

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​冬日向の道は快適

阿弥陀ヶ谷方面との分岐を左にとり大鉢形に向かう

傾斜のある林道で一気に高度を稼ぐと日当たりが良くなる

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大鉢形の民家の前を通過する

​白い土蔵の前で鋭角に曲がり、尾根道に入る

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塞神峠(さいじんとうげ)

大鉢形から尾根道を行き馬頭観音をみると峠は近い

峠に出る手前に塞神様の石碑がある

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岩根神社に向かう林道から見た両神山

​中央にちょこんと大ナゲシが見えている

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岩根神社
葉原峠から林道を少し下ると大岩の基部に社がある

​ツツジの名所だかこの時季は静寂の中

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春日神社の社
 

20210109_法善寺から塞神峠10.jpg

春日神社からの下りは道が荒れており一部不明瞭

下部は沢筋で荒れている
一般道は金ヶ岳と春日神社の間から下るようになっている

この道標は沢筋と一般道の合流点

​(雅熊)

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