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ミズホ通信 10Wリニア・アンプ PL-XSシリーズ

投稿日 2023年01月01日

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当局愛用のミズホ通信の50MHz 10Wリニアアンプ PL-6SK(下)とピコ6(上)

Kはキット、Bは完成品

PL-XSシリーズは3.5MHzから50MHzまで同じ回路、同じファイナルで構成されている

今回はミズホ通信から発売されていたピコシリーズ・トランシーバ用の10WリニアアンプPL-XSです。3.5MHzのPL-3.5S、7MHz用PL-7S、21MHz用PL-21S、28MHz用PL-28S、50MHz用PL-6Sがありました。1Wまたは2Wのピコを10Wにパワーアップするリニア・アンプです。

キットと完成品があって、たとえばPL-6SKはキット。PL-6SBは完成品です。キットはいずれも10,000円。完成品は18,000円でした。キットの場合はトランス(トロイダル・トランス)やRFCはポリウレタン線を自分で巻きます。(説明書に巻き方が詳細に説明されている)

ピコシリーズ用ですので、リニア・アンプからピコ本体用の電源(9V)がとれるようになっています。リニアアンプ自体の電源は12V(13.8V)です。

回路はファイナルに2SC1945を使用した同調型シングル・アンプです。バイアス電圧(コレクタにアイドリング電流を流すためにベースに与える電圧)はシリーズ・レギュレーターの7808で供給しています。回路全体はいずれの周波数も同じで、トランスの巻き数とLCRの定数のみ異なります。ピコは送信時にアンテナ・ラインにDC電圧を重畳するので、その電圧を検出して送受信を切り換えます。切り替えはリレーで行っていますのでCWではセミブレークイン(専用キーヤーも販売されていました)で使います。SSBの場合はマイクのPTTを押している間送信になります。前面パネルのスイッチで、リニアをつないだ状態でもスルー(リニア無し)にすることもできます。

前述のように周波数(バンド)が異なっても回路は全く同じです。トランスとRFCの巻き数を変更しLCRの定数を変更すれば異なる周波数にも対応できます。回路が同じなので基板が共通です。ファイナルに使用されている2SC1945はすべてのバンドで共通です。もともとCB用で、27MHzで20W出せる石です。28MHz以下であれば10Wは余裕と思われますが、50MHzでも10W出せるようです。CB用の石、恐ろし!

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バラバラのPL-28S CR以外の主なパーツ

オークションで入手したPL-28Sをバラしました

​未使用の基板は昔ハムフェアで購入しておいたもの

昔、ハムフェアでミズホ通信のブースに寄り、高田社長から直接商品を購入したことがあります。人柄のよい温和そうな方でした。そのころはPL-XSシリーズの基板を販売してたので、一枚購入しておきました。回路が同じなので、どのバンドでもこの基板で作れます。ファイナルがちょっと心配でしたが、そのほかは十分入手できる部品ばかりなので、いずれ作ってみようと考えていました。

その後、オークションで28MHz用PL-28Sを購入し、バラしてそのままにしてあります。
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50MHz用10Wリニア・アンプ PL-6Sの内部

受信ラインに簡単なプリ・アンプ(右端)を組み込んである

当局はピコ6(1W 50MHz SSB/CWトランシーバ)と、そのリニア・アンプPL-6Sを所有しています。昔キットで購入したものですが、容易に組配でき、簡単な調整で一応の性能は出ていました。今はほぼ現役を引退しています。

 

今回久しぶりにピコ6にPL-6Sをつないで送信パワーを確認してみました。各トリマーを再調整してから、CWで約16W出ました。

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PL-XSシリーズの回路

どのバンドでも回路、ファイナルの2SC1945は共通​

​このため基板も共通

トランス、RFCの巻き数、LCRの定数のみ異なる

次に回路についてですが、PL-XSシリーズの回路は1石のA級増幅回路(上図参照)です。電源は12V(13.8V)です。ダイオードで逆接続保護をしています。逆接続するとヒューズが切れるでしょう。レギュレータ7808にダイオードで下駄を履かせて12Vから9Vを作っています。この9Vは、ベース・バイアス電圧源、ピコ用の電源、送受切り換え回路の電源として使われています。ベース・バイアス電圧は半固定抵抗で2SC1945のコレクタ電流が150mAになるように調整します。これがアイドリング電流です。ベースにはダイオード1S1555が2SC2945と熱結合でつながれ、温度保障を行っています。

入力には数dBのパッド(PL-6Sの場合は1dB 50Ω)が入っています。これはファイナルのベースに過大な電力が入らないように保護の目的と、SWRの改善の意味があると思います。パッドの抵抗は1/4Wの小さいものなので、過大な入力を加えると熱損傷すると思います。このとき高抵抗に変質してファイナルを守ります。入力電力はパッドの後のLCインピーダンス整合回路を通して2SC1945のベースに供給されます。

ピコが送信になるとアンテナ・ラインにDC電圧が印加されるので、それを3つのトランジスタで検出し、送信モードインジケータLED(緑)を点灯すると同時に、リレーを切り換えて送信モードにします。前面パネルのスイッチをTHROUGH側にすると、DC電圧が印加されても送信モードにしないスルー・モードにできます。この場合リニアは働きません。

コレクタの出力側は負荷とアンテナとのインピーダンス・マッチングとしてのπ型タンク回路です。ダイオードで整流した電圧で送信インジケータLED(赤)を点灯させています。

ピコは1Wまたは2Wのパワーですので、HFではとくに非力に感じることがありますが、PL-XSシリーズの10Wリニア・アンプをつなげばそこそこに楽しむことができます。当局は移動運用でピコを持って歩き、自宅ではリニアをつないで運用するスタイルでした。セミブレークインのCW キーヤーもあって、快適に運用できました。これらのちょっとQRPerの心をくすぐる無線機器を販売してくれていたミズホ通信に感謝しています。ほかにもいろんな製品がありましたね。

バラしてあるPL-28Sは、そのうち組み立ててみたいと思っています。

(JF1VRR)

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