SGA-6386 広帯域アンプの実測

投稿日 2022年02月14日

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SGA-6386のデータシートより抜粋

広帯域アンプのSGA-6386の実測を行いました。SGA-6386はひところ秋月電子で扱っていた(I-10607)のですが、今は見当たりません。当時は2個パックで200円でした。あとで何かに使えるだろうと思って買っておいたものです。

SGA-6386のデータシートによるとDC to 5000MHz, CASCADABLE SiGe HBT MMIC AMPLIFIERとなっていますので、5GHzまで使える広帯域アンプICということになります。インピーダンスはIN/OUTともに50オームに整合されているので使いやすくなっています。電源は単一で出力のラインにRFCを通して加えます。あとは入出力のコンデンサと電源回りにパスコンをつなげば使えます。外付け部品点数が少なく、基板パターンも単純ですので作りやすいようです。

​当局の高周波計測環境はショボいのでSGA-6386の性能の一部しか実測できませんが、やれる範囲で計測してみました。

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SGA-6386の応用例回路と推奨値、基板パターン

(データシートより抜粋)

まず上記の回路図と部品配置図を参考に実装しました。ただし回路図どおりの部品の手持ちがありませんので、適当に変えました。電源は12Vを使用しました。

Supply Voltage Vs 12V

Rbias 91Ω -> 100Ω

1uF -> 1uF

1000pF -> 1000pF

Cd 100pF -> 180pF

Cb 220pF(500MHz) -> 330pF

Lc 68nH -> 1uH

あまり高い周波数では使わないのでCbは500MHzをリファレンスとしています。

実装は小型(30mm x 20mm)の片面エポキシ基盤の裏側に銅箔を貼り、カッターで切り取って回路を作りました。チップ​部品を使いましたが、Rbiasのみ1/4W金属皮膜抵抗です。

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実装したSGA-6386使用の広帯域アンプ

まず消費電流を計測しました。電源電圧(Vs)は12Vとしました。SGA-6386の電源電圧は5V(Vd)ですが、Rbiasを挿入することにより高い電圧でも使えるとしておりRbiasの推奨値がデータシートに載っています。(上記表参照)

Vs 12.0V (Rbias 100Ω)

Rf 100MHz -20dBm

Device Current 68.9mA このときのVd(Pin 3)は4.8V

Rfの周波数、レベルによる電流の変化はありませんでした。消費電力は大きく、大食らいです。チップを指でさわると若干熱を感じます。

周波数、入力レベル、出力レベルは以下のようになりました。

Vs 12V (Vd 4.8V)

SSG HP8656B

Spectrum Analyzer TinySA v0.3

回路定数は前述に値です。

周波数10MHz (周波数の低域は後述)

入力   0dBm  出力 +11.3dBm ゲイン 11.3dB

入力 -10dBm  出力 +1.3dBm ゲイン 11.3dB

入力 -20dBm  出力 -8.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -30dBm  出力 -18.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -40dBm  出力 -28.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -50dBm  出力 -38.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -60dBm  出力 -48.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -70dBm  出力 -58.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -80dBm  出力 -68.2dBm ゲイン 11.8dB

入力 -90dBm  出力 -78.2dBm ゲイン 11.8dB

周波数50MHz

入力   0dBm  出力 +14.6dBm ゲイン 14.8dB

入力 -10dBm  出力 +4.8dBm ゲイン 14.8dB

入力 -20dBm  出力 -4.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -30dBm  出力 -15.3dBm ゲイン 14.7dB

入力 -40dBm  出力 -24.8dBm ゲイン 15.2dB

入力 -50dBm  出力 -35.3dBm ゲイン 14.7dB

入力 -60dBm  出力 -45.3dBm ゲイン 14.7dB

入力 -70dBm  出力 -55.3dBm ゲイン 14.7dB

入力 -80dBm  出力 -65.3dBm ゲイン 14.7dB

入力 -90dBm  出力 -74.8dBm ゲイン 15.2dB

周波数100MHz

入力   0dBm  出力 +14.6dBm ゲイン 14.6dB

入力 -10dBm  出力 +5.1dBm ゲイン 15.1dB

入力 -20dBm  出力 -4.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -30dBm  出力 -14.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -40dBm  出力 -24.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -50dBm  出力 -35.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -60dBm  出力 -45.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -70dBm  出力 -55.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -80dBm  出力 -64.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -90dBm  出力 -74.4dBm ゲイン 15.6dB

周波数200MHz

入力   0dBm  出力 +15.1dBm ゲイン 15.1dB

入力 -10dBm  出力 +5.1dBm ゲイン 15.1dB

入力 -20dBm  出力 -4.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -30dBm  出力 -114.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -40dBm  出力 -24.9dBm ゲイン 15.1dB

入力 -50dBm  出力 -35.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -60dBm  出力 -45.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -70dBm  出力 -55.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -80dBm  出力 -65.4dBm ゲイン 14.6dB

入力 -90dBm  出力 -75.4dBm ゲイン 14.6dB

300MHzは同軸ケーブルの減衰が影響するので計測していません(NanoVNAでの計測を参照)。スペックの100MHz 15.9dBに対して15.1dBとなりました。

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SGA-6386広帯域アンプの特性をNanoVNAで実測

NanoVNAの出力が大きいので10dBのATTを入力に挿入

スパン 0.05MHzから300MHz

Marker.1 (赤) 50MHz S21 4.3dBm(ゲイン 14.3dB) S11 -32.7dB VSWR 1.05

Marker.1 (緑) 100MHz S21 4.4dBm(ゲイン 14.4dB) S11 -28.8dB VSWR 1.07

Marker.1 (青) 200MHz S21 4.4dBm(ゲイン 14.4dB) S11 -26.6dB VSWR 1.10

次にSGA-6386の特性をNanoVNAで実測してみました。このような広帯域アンプは入力信号が大きいとS11が悪化するのか、逆にゲインが下がりますので、少なくとも0dBmか-10dBm以下で使う必要がありますが、NanoVNAの出力が大きすぎるのでうまく特性が測れません。そのため10dBのATTを入力に挿入して入力ゲインを下げて計測しました。

実測結果は上の通りで、スパンを300MHzまでとしましたが、14.4dBくらいの一定のゲインが得られています。NanoVNAはS21とS11しか測れませんが、S11はVSWRが1.0に近く、良好です。20MHzあたりでゲインが落ちていますが、この辺はCbの値によると思われます。

SGA-6386は、手はんだでつくりやすいSOT-86パッケージです。RFC経由で電源を与える方式なのでその分部品が増えます。素人実装でも300MHzくらいは余裕で14.4dBくらいのゲインが得られるので、いろいろ使い道はありそうです。消費電力が大きいのが気になりますが。

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SGA-6386広帯域アンプの特性をNanoVNAで実測

NanoVNAの出力が大きいので10dBのATTを入力に挿入

スパン 0.05MHzから50MHz

Marker.1 (赤) 5MHz S21 -12.5dBm(ゲイン -2.5dB) S11 -23.1dB VSWR 1.15

Marker.1 (緑) 10MHz S21 0.2dBm(ゲイン 14.4dB) S11 -24.7dB VSWR 1.12

Marker.1 (青) 20MHz S21 2.8dBm(ゲイン 14.4dB) S11 -31.1dB VSWR 1.06

​(S11,VSWRはATTの特性です。)

最後に周波数の低域を計測してみました。50MHz以下の領域です。この辺りは多分にCbの値が影響するかと思います。今回はCbを330pFとしています。

(JF1VRR)