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TinySAでVFO-5Dを計測、APB-3と比較

​投稿日 2021年01月25日

VFO-5D_5.jpg

ミズホ通信のVFO-5D

​5.000から5.500MHz RIT回路付きの組み込み用VFO

当時価格は約6000円 現在入手はむずかしい

今回はTinySAでミズホ通信のVFO-5Dの出力を観測してみました。VFO-5Dはアマチュアの自作派によく使われた組み込み用VFOです。FETのLC発振部にバッファ回路を設けた構成のごく一般的な回路構成のVFOです。現在ではVFOをLC発振でつくることはほぼ無く、ほとんどはPLL発振回路が採用されますが、VFO-5DはLC発振でも安定した出力を得ることができる低い周波数(5.000MHz - 5.500MHz 500KHz可変)となっています。自作派の方はお世話になった方が多いのではないでしょうか。残念ながら現在は入手困難です。VFO-7Dもありました。こちらは7.000MHzから7.150MHzの出力です。

5MHzという周波数は7MHzのAM送信機にはそのまま使えないし、6逓倍して50MHzを得るなら8.333MHzが必要ですから中途半端です。このため多くの場合このようなVFOは、他の発振器(水晶発振回路など)の出力とミックスして希望の周波数にするプリミックスという方法で使われます。今回はピコ6用の外付けVFOとしてVFO-5Dを使う予定です。VFO-5Dの回路は以下の記事を参照ください。

​関連記事:ピコ6用プリミックスVFOを作る(その1)

VFO-5D_OUT.jpg

VFO-5Dの出力波形

まずVFO-5Dの出力波形を観測してみました。周波数は約5.000MHzです。目視では波形が歪んでいる様子はありません。4.56V P-P、1.580V rmsです。

VFO-5D_4.jpg

VFO-5Dの出力をTinySAで観測

SPAN 0.1- 50MHz MAX 5MHz -13.188dBn RBW AUTO 内蔵ATT 0dB 外部ATT 20dB ​

つぎに、TinySAでスペクトラムを観測してみました。このような観測では外部ATTは必須です。スプリアスはもっと出ているかと思いましたが意外にも小さく、-70dBm以下なので問題はないようです。

​今回は比較のためにAPB-3でも観測してみました。APB-3は40MHzのスペクトラム・アナライザーです。トランジスタ技術 2012年11月号から連載が始まったUSB-FPGA信号処理実験基板をCQ出版が製品化したものです。スペクトラム・アナライザーのほかネットワーク・アナライザ、信号発生器、SSB信号発生器、AMH復調器、SSB復調器、FM復調器、FMアナライザ、レシプロカル周波数カウンタなどに変身する多用途計測器です。

40MHzのスペクトラム・アナライザーということで少々物足りなさを感じながらも当時約4万円という大枚を叩いて購入しました。時は流れて、現在は高度な半導体デバイスが開発されTinySAのような高機能なスペクトラム。アナライザーが廉価で販売される時代となりました。以下がAPB-3と観測結果です。

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40MHzのスペクトラム・アナライザー APB-3

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VFO-5Dの出力をAPB-3で観測

TinySAとほぼ同等のスプリアスが観測された

APB-3での観測結果はTinySAとほぼ同等でした。こちらのスプリアスは-79dBmを少し超えています。第三高調波は-60dBmとなっています。基本波との差は53dB(1/100000)です。VFO-5Dの回路にはちゃんとLPFが入ってますのでその効果かも知れません。外付けでLPFが必要かと思っていましたが、この結果だと必要なさそうです。

 

(JF1VRR)

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