
LPFの効果をTinySAで観測
投稿日 2021年01月xx日
トリオ HFトランシーバーTS-520VのVFO
以前何かに使えるかと思って購入しておいたトリオ HFトランシーバーのVFOを引っ張り出してきて、その出力波形やスプリアスを観測してみました。その結果スプリアスのレベルがかなり高いことが確認できました。おかしいと思って回路図を見てみたところ、なんと出力にLPFが入っていません。以下がその回路です。

トリオ HFトランシーバーのVFO部の回路図
回路はFET使用の一般的なLC発振回路にバッファアンプをつないだ構成
しかし出力にLPFは無い
このVFOの出力は5.5MHzから4.9MHzです。本稿と関係ありませんがTS-520の受信部の周波数構成は以下のようになっています。例えば7MHZバンドの場合、ヘテロダインOSCの15.895MHzとミックスし8.895MHzに変換します。それにVFOの出力5.500MHzをミックスして3.395MHz(IF)に変換します。さらにキャリアOSCの3.3935MHzをミックスして1.5KHzの音声帯域を得ます。IFの3.395MHzはクリスタル・フィルターで鋭利にカットされますのでVFO出力にLPFが入っていなくても問題ないのかも知れません。

トリオ HFトランシーバーのVFO出力
基本波-24dBmに対して第二高調波は-41.5dBm その差17.7dBしかない
トリオ HFトランシーバーのVFO出力波形
そこで簡単なLPFを作って効果をみることにしました。作ったLPFの仕様は以下の通りです。
カットオフ周波数を6MHzとし、VFO出力のインピーダンスは分からないのでとりあえず50Ωで設計し3dBパッドを入れることにしました。設計はCQ出版「LCフィルター設計&製作」の正規化LPF簡易設計法に従います。
形式: バターワース パイ型3次
M = 6 x 10^6Hz / (1 / 2PI)Hz = 6000000 / 0.159154 = 37699335.24
K = 50Ω / 1Ω = 50.0
L1o = 2.0H / M = 0.053uH
L1n = L1 x K = 0.053 x 50 = 2.65uH
C1o = 1.0F / M = 0.026uF
C1n = C1 / K = 520pF
C2o = 1.0F / M = 0.026uF
C2n = C1 / K = 520pF
L1 2.65uH
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= C1 520pF = C2 520pF
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/// ///
シミュレーション性能
5.000MHz -4dB
6.000MHz -7dB
10MHz -15dB
15MHz -18dB
20MHz -27dB
形式: バターワース パイ型5次
M = 6 x 10^6Hz / (1 / 2PI)Hz = 6000000 / 0.159154 = 37699335.24
K = 50Ω / 1Ω = 50.0
L1o = 1.61803H / M = 0.043uH
L1n = L1 x K = 0.043 x 50 = 2.15uH
L2o = 1.61803H / M = 0.043uH
L2n = L1 x K = 0.043 x 50 = 2.15uH
C1o = 0.61803F / M = 0.016uF
C1n = C1 / K = 328pF
C2o = 2.0F / M = 0.053uF
C2n = C1 / K = 1061pF
C3o = 0.61803F / M = 0.016uF
C3n = C1 / K = 328pF
L1 2.15uH L2 2.15uH
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= C1 328pF = C2 1061pF= C3 328pF
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シミュレーション性能
5.000MHz -1dB
6.000MHz -8dB
10MHz -28dB
15MHz -42dB
20MHz -52dB
コイルはトロイダル・コアに巻きました。コンデンサーは手持ちの近い値のものを使っています。性能は第二高調波の10MHzで-40dBほどほしいところですが、シミュレーションでは-28dBで
(JF1VRR)