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投稿日 2021年12月21日

サネカズラ.jpg

サネカズラ

​埼玉県比企郡ときがわ町弓立山にて

11月の小春日和の時季が過ぎて、寒風の吹く初冬の山。そして遠く高い山が白くなる本格的な冬。いつ登ってもそれぞれに味わい深いものです。木の葉は急いで落ちてゆき、林内は明るくなって、空や隣の山など、見通しがよくなります。

冬の山は寒くてさびしいと思っている人も多いでしょう。実際そうなのですが、冬でもシジュウカラやコガラなどが枯れ枝をチチッ、チチッと渡っていきますし、ふと気づくと、足元や頭上、はたまた枯れ草に混じって赤い実がそこかしこに。

そう、寂しいと思っていた冬枯れの山は、意外と音も、色も豊かなのです。

初冬の山には、春から夏に花を咲かせた草や木が、秋に実となり、それが残っているのです。その実は赤いものが多いようです。いや、赤が山内では目立つからかもしれませんが、とにかく、冬枯れの木や、枯れ草ばかりかと思っていたら、意外と赤い実でにぎやかなのです。

山里の民家の庭から覗く南天やピラカンサ。低山の藪にはマンリョウ。少し暗い樹林には実を附けたアオキ。登山道脇にマムシ草の目立つ実。ちょっと珍しいサネカズラ。寺の境内にはクロガネモチ。関西に多いタマミズキ。高い山では、ナナカマド。カマツカ、ツルリンドウ、マユミ、ノイバラなどなど。もっとあると思います。

​初冬の山はこれらの赤い実に出会うことが、楽しみのひとつでもあります。

(雅熊)

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