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車坂峠から黒斑山外輪山周回 2020年10月14日 曇り時々晴 単独

投稿日 2020年10月16日

10月に入ってもなかなか天気がはっきりしませんが、天気予報で晴れマークが出ていたこの日を狙って出かけました。長野県中部の予報は曇り時々晴れ。小諸市で高速を降りたときはどんよりした曇り。冴えない天気だなと思いながらチェリーパークラインを車坂峠へ。車はぐんぐん高度を上げ、一気に2000m弱まで登ります。1500mを超えたあたりから黄色く色づいた唐松林に太陽の陽が差し込んでいます。なんと山の上は晴れ。眼下には雲海が広がっていました。気をよくして車坂峠の駐車場に車を置き、身支度を整えていざ出発。しかし、上空には速い雲が走り、目まぐるしく晴れたり曇ったり。まぁ、どにょり暗いよりはましかと、気を取り直して表コースに入りました。


登山口の手前には「浅間山の成り立ち」という看板があって、登山前の予備知識を与えてくれます。その看板によると、我々が遠くから見て浅間山と呼んでいる大きな山体は最も新しいもので、その前に3000mにも届こうとする黒斑山がそびえていたようです。残念ながら黒斑山は大爆発で山体崩壊し、東側が吹っ飛んでしまいましたが、外輪山の西側が半円形に残ったようです。剣ヶ峰から牙山、トーミの頭、黒斑山、蛇骨岳、仙人岳、鋸山へと続く急峻な崖の稜線は、その外輪山の一部のようです。吹っ飛んだ黒斑山は、その名前を外輪山の一ピークに留めているということになります。その後現在の前掛山が成長し、さらに前掛け山の山頂部のカルデラの中に竈山ができたということのようです。そう考えると、浅間山はどれかということになりますが、前掛山とその中にある竈山を含めて浅間山と呼んでいるのでしょう。

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車坂峠にある浅間山火山の成り立ちを説明する看板

たいへん勉強になります

​浅間山は、烏帽子。浅間火山帯の東の端にありますが、西の端にある烏帽子山が最も古く40万年前に掲載され、浅間山は約2万年前。黒斑山はその少し前の10万年前にできたようです。つまり西から東に向かって順番に噴火してきたということです。浅間山の噴火は有史以降の出来事として多く記録されています。天明三年の大噴火は有名ですね。わずか230年ほど前の出来事です。そういえば更に東に小浅間山がありますが、噴火して大きく成長するのはいつ頃でしょうか。

20201014_黒斑山01.jpg

車坂峠(左端)から表コースでトーミの頭、黒斑山

時計廻りで蛇骨岳、仙人岳、鋸山、湯の平、草すべりと周回し

中コースで車坂峠に戻るルート

赤実線:歩行GPS軌跡

(国土地理院電子国土地図に情報追加)

 

 

主な通過時刻:

車坂峠の駐車場 8:35

槍ヶ鞘 10:02

トーミの頭 10:17

黒斑山 10:41

蛇骨岳 11:15

仙人岳 11:27

バンド手前(昼食)

Jバンド 12:12

前掛山分岐 12:43

湯の平分岐 12:57

草すべり分岐(稜線上) 13:59

中コース分岐 14:15

車坂峠の駐車場 15:12

所要時間:6時間45分

総歩行距離: 10.3km

 

車坂峠の駐車場はチェリーパークラインを登り切ったところの高峰高原ホテルの北側にあります。駐車場の隅にビジターセンターがあり、道路の反対側に登山届ポストや案内板があり、登山口となっています。表コースと裏コースに分かれますが、展望のよい表コースで登りました。中コースは下山に利用しました。中コースは展望のない樹林の中の道ですが、急な斜面が無く、下山に適しています。

表コースの黄色く色づいた唐松を見ながら登ります。すぐに小ピークを越え、いったん下ってまた登り返します。背後の水ノ塔山や、篭ノ登山などを振り返りつつ登っていくと数か所明るいガレ場があります。黒木の樹林にアズマシャクナゲが混ざっています。左前方にトーミの頭の崖が見え、避難小屋(シェルター)の前を通過すると槍ヶ鞘(やりがさや)です。そこはすでに黒斑山外輪山の一角です。

少し下ってガレを登るとトーミの頭です。外輪山のこの当たりから蛇骨岳を越えたあたりまでは、左が黒木の樹林。右が崖です。トーミの頭までのガレ場を登ります。途中に中コースの分岐がありますので、下山のために確認しておきます。外輪山からは浅間山(前掛山)の雄大な姿が見えるはずですが、この日は上半分が見えませんでした。湯の平の笹や唐松には陽が当たって黄色く美しいのびやかな斜面が見えています。

トーミの頭から少しで草すべりの分岐です。ここも帰りにここに登ってくるので確認しておきます。草すべりの道は崖に作られたかなり急峻な道です。上から上部の一部が見えていました。分岐を過ぎると蛇骨岳へと歩を進めますが、この辺りはガスの中。真っ白でした。蛇骨岳を過ぎてすこし標高が下がるとやがて雲の下に出て視界が開けました。仙人岳の三頭三角点を確認して、岩の稜線をJバンドへと降りてゆきます。この辺りは左が明るい緩やかな斜面。右は切れ落ちた岸壁です。湯の平をゆく登山道が線のように見えています。

浅間山は顔を出すまで待つのを兼ねて岩場の途中で昼食にしました。少し風があったもののヤッケを着ていれば寒くはありません。昼食を終えjバンドを慎重に下って湯の平に降り立ちます。振り返るとかなりの高度差です。背の低い唐松の生えた砂地の道を歩きます。浅間山は相変わらず上半分を見せてくれません。

湯の平は黒斑山の外輪山の岩壁に囲まれています。昔3000mほどもあった黒斑山が自らを吹き飛ばして作られた外輪山の岩壁です。ダイナミックな変化がここにあったんだなと考えながら歩きました。やがて唐松の背も高くなり疎林の中を行くようになります。前掛山への分岐(現在は火山噴火警戒レベル2のため入山禁止)を見て、更に進むと湯の平分岐です。ここから数分で浅間神社と火山館ですが、寄ってみるという頭が働きませんでした。

湯の平分岐からは密かに楽しみにしていた草すべりの急登です。標高差300m以上を直線距離約700mの間に登ります。上半分はガスで白く霞んでいます。晴れていれば素晴らしい登高が楽しめたのですが、その子気味良い登りは十分味わえました。約1時間の楽しみでした。稜線にでたらトーミの頭を再び通過して、確認しておいた中コースの道に入りました。傾斜の緩い樹林の道を下って、駐車場に戻ったのは出発して7時間弱でした。

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高峰高原ホテルの北側にある無料駐車場

50台くらいは停められるだろうか

​隅にビジターセンターがあり、登山口にも近い

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​現在の噴火警戒レベルは2

火口から2km以内への進入は禁止されているが

​湯の平の通行はできる

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車坂峠から表コースに入ると小さなピークを越え、いったん鞍部に下る

笹の林床に、黄色く色づいた唐松の自然林

右上の黒斑山からの斜面は黒木の森になっている

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槍ヶ鞘から眺めるトーミの頭

トーミの頭へは左の黒木と崖の境目のガレを登る

​崖の途中に立つのはローソク岩

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黒斑山の山頂

ただの崖の一角という感じだが、

大昔3000m近い標高があった黒斑火山の外輪山の最高点

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Jバンド手前から見た前掛山(浅間山)

堂々としていて存在感がある

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草すべり登高中に眺める湯の平と外輪山の北端(鋸岳付近)

​(熊五郎)

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