八ヶ岳 杣添尾根から横岳 2020年08月30日 曇り時々晴 3名

投稿日 2020年09月06日

コロナの脅威がおさまりませんが、夏の思い出をひとつ残したい気持ちで八ヶ岳に出かけました。八ヶ岳の登山ルートはほとんど歩いてますが、最後に残ったのがこの杣添尾根(そまぞえおね)です。30年以上も前から、その名前に惚れて登りたいと思っていた尾根ですが、一方で標高差1000mの樹林の単調な登りということが、後回しになった要因でした。そんな杣添尾根に熊谷の山友をお誘いして登ってみました。

杣添尾根は、東側に広く裾野を広げる八ヶ岳の中央部にある横岳を東側から支えている長大な尾根です。裾野は千曲川に落ちていますが、川面の標高が約1000mです。そこにJR小海線や国道141号が走り、わずかな平地に民家が点在しています。農耕は裾野の傾斜地を用いて大規模に行われており、ここの高原野菜は有名です。農耕地のさらに上の高原状の疎林は別荘地となっています。

そんな別荘地の端っこに狭い登山者用の駐車場があり、その傍に杣添尾根の登山口があります。駐車地の標高はすでに1700mを越えています。登山道はしばらく別荘地を通り抜け、南八ヶ岳林道(砂利道)を渡ったところにある東屋(水場あり)のことろから本格的な登山道になっています。

東屋から山道に入るとすぐに小沢を木橋で渡ります。その後タンタンと樹林の中を登って行きます。樹相はカラマツ、シラビソ、ダケカンバ、ハイマツと変化します。露岩のあるしっとりとした山道に、透明度のあるメボソムシクイの声が響いています。小沢から上に水場はありません。標高差100m毎に看板が木にかけてあります。展望は上の森林限界に出るまでほぼありません。

樹林を登り続けてシラビソの樹高が低くなり、ダケカンバが優勢になると数段の木の梯子で展望のある尾根上に出ますが。よく見るとこの梯子の根本からまっすぐ道が伸びています。今回使いませんでしたが、国土地理院の地図にある北側をトラバースする古い登山道と思われます。上のハイマツ帯で再び尾根上に出ています。

尾根上出るとすぐに木板で作られた平らな展望台?がありますがベンチなどはありません。(おそらくこの展望台の平らなスペースは冬季登山のためのテント場でしょう。そう考えると2張くらい張れます。樹林内にはテントの張れるスペースは見当たりません) ここで天気が良ければ初めて赤岳がお目見えです。

 

この展望台から上は新しく切り開かれた登山道がまっすぐ横岳の稜線に伸びています。この道は最近開かれたようで、ハイマツとシャクナゲが無残に切られその切株や枝、根っこなどがからまって登りにくいことこのうえなく、ひどい状態です。

切られて枯れた枝は生きているハイマツの上に放置され、長い切株や枝はバネのように人に踏まれては反り返ることを繰り返します。この無残な道は上のハイマツ帯下部で北側のトラバース道が合流するところまで続きます。そこからはシャクナゲがなくなり完全にハイマツ帯になり、露岩交じりの急傾斜となって横岳の三叉峰(さんしゃほう)に至ります。三叉峰には杣添尾根下降点を示す道標があります。

ここで、なぜ昔からある北側のトラバース道があるのに、尾根上に新しい道を切り開いたのか。疑問です。多くの方は気づくと思いますが、横岳の東側斜面は「天然記念物のキバナシャクナゲの自生地」です。杣添尾根はその保護区域からは外れていますが、杣添尾根のハイマツに混ざっいるシャクナゲも同じキバナシャクナゲと思われます。そういう貴重な植相の場所であのような乱暴な道の開設をしてよいのでしょうか。キバナシャクナゲはハイマツに混ざって標高2500mもの厳しい環境を生き抜いてきたようですが、あのように無残に道を切り開けば風当りや積雪状態の変化などによってキバナシャクナゲが枯れてゆく結果にならないでしょうか。

実際昔付けられたトラバース道はちょうどハイマツをシャクナゲの混生帯を避けるように北側斜面を通っています。これは想像ですが、昔、道を付ける際、杣添尾根上部はキバナシャクナゲの保護区域ではないものの、そこにも自生するシャクナゲに影響を与えないように尾根上に道を作ることを避けたのではないでしょうか。

そんなことを考えながらやがてハイマツのみとなった標高2800mを越える斜面を登っていくと、ようやく三叉峰の道標が見えてきました。三叉峰は道標の傍の小さなピークです。そこからは赤岳、阿弥陀岳、横岳の奥の院、硫黄岳の一部、峰の松目、眼下に行者小屋や赤岳鉱泉などが見えています。あいにく雲が多かったのですが、それでもしばらく留まっていたら見えました。昼食をとり、来た道を戻りました。お風呂は海の口駅近くの海の口温泉和泉館にしました。源泉を温めてかけ流しだそうです。愛嬌のある女将でした。

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杣添尾根 登山口 - 三叉峰標高差約1000m

上部のハイマツとシャクナゲ混生帯の尾根上に新しい道が開設されている

​古い道は混生帯を避けるように北側をトラバースしている(点線)

赤実線:歩行GPS軌跡

(国土地理院電子国土地図に情報追加)

 

通過時刻:

熊谷 5:00

杣添尾根登山口 7:38

東屋 8:17

展望台 11:03

三叉峰 11:59 昼食 12:44

杣添尾根登山口 16:12

所要時間: 8時間45分

歩行距離:12km

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駐車地の傍にある杣添尾根登山口

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東屋

別荘地を抜けて南八ヶ岳林道を少しあるくと東屋がある

​ここと、少し入った沢で水が補給できる

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樹林の中の露岩交じりの道を黙々と登る

​標高差100mおきに看板が木に掛けてある

​全体的に急なところはなく、歩きやすい

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樹林を抜けて尾根上に出るとすぐに展望台がある

​樹林内にテントを張れるスペースがないため冬季のテント場を兼ねていると思われる

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無残に切り開かれた登山道

​ここはハイマツとシャクナゲの混生帯

 

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三叉峰(標高2826m)の傍には道標がある

右に行けば横岳奥の院から硫黄岳、左は赤岳方面

 

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三叉峰から見た赤岳と中岳、阿弥陀岳(右の雲の中)

手前は石尊峰

​(熊五郎)