左：「群馬の峠」西北の道 三山の地 昭和四十六年六月二十日
右：「群馬の峠」(下巻) 北東の山 南西の峡 昭和四十六年十一月三十日
岩佐徹道著
「群馬の峠」と言えば、以前取り上げたみやま書房の「群馬の峠」があるが、こちらは、著者の岩佐徹道氏が務める会社が発刊した「群馬の峠」で、当時どのような形で発刊されたものかは分からないが、群馬県知事のあいさつ文に始まり、群馬商工労働部長 群馬県経営者協会として、群馬県内の各市町村の紋章と市町村名、特産物、名所旧跡がリストされ、特異な形式をとっている。著者が長く群馬の峠を愛され歩いてこられたこの記録を群馬県の風物を現す代表的書物として扱われていることは確かである。
今回取り上げる「群馬の峠」は西北の道 三山の地編 昭和四十六年六月二十日初版発行と、北東の山 南西の峡編 昭和四十六年十一月三十日の二部作となっている。氏が群馬県内または県境の峠を、数名の人に同行を願い、または案内を受けて歩かれた写真入りの記録が、趣のある文章でつづられている。
内容は基本的には峠の紹介、歴史的背景、氏が歩かれた当時の様子などであるが、その内容は今となっては貴重な資料となっている。中には遭難しかかったエピソードなどもあって、違う意味での参考にもなる。
西北の道 三山の地編には71峠、北東の山 南西の峡編には79峠が収録されている。それぞれにカラーまたはモノクロの写真が添えられており、当時の様子を垣間見ることができる。
峠は、そこを訪れた人に何とも言えない気持ちを心の中に湧き立たせる所である。そこには薄(すすき)が揺れ、地蔵がポツンと立ち、遠くの青い山並や、一条の川にへばり付くように小さな民家が立ち並んでいるのが見えたりする。昔そこを越えた人の苦難の多い山里での生活や、人と人との交流、別れなど、いろいろ想像してみれば、峠という場所は登山における単なる一通過点というような考えには納まらない。
収録されている峠（目次より）
北西の道
三国・四万周辺の峠
三国峠
仏岩峠
赤沢峠
暮坂峠
野反峠
地蔵峠
草津白根の峠
万座峠
渋峠
山田峠
草津峠
毛無峠
浅間西山系の峠
鳥居峠
角間峠
地蔵峠
車坂峠
須賀尾・北軽井沢周辺の峠
萩生峠
須賀尾峠
大柏木峠
燕峠
川原湯峠
万騎峠
栗平峠
二度上峠
碓氷周辺の峠
十六曲峠
碓氷峠(新道)
碓氷峠(旧道)
矢ヶ崎峠
入山峠
新軽井沢峠
和美峠
荒船・神津周辺の峠
内山峠
香坂峠
矢川峠
星尾峠
柏木峠
三山の地
赤城山の峠
姥子峠
鍬柄峠
出張峠
野坂峠
五輪峠
鳥居峠
八丁峠
軽井沢峠
牛石峠
富士望峠
茶ノ木畑峠
榛名山の峠
ヤセオネ峠
松之沢峠
スルス峠
つつじ峠
七曲峠
天神峠
杖ノ神峠
地蔵峠
妙義山の峠
大遠見峠
杉ノ木峠
ゴーノ峠
ポッキリ峠
高石峠
安中丘陵の峠
地蔵峠
風戸峠
吉ヶ谷峠
子持山周辺の峠
権現峠
不動峠
切り久保峠
小峠
大道峠
女堀峠
中山峠
福守峠
北東の山
谷川岳の峠
蓬峠
清水峠
天神峠
湯之小屋周辺の峠
坤六峠
尾瀬の峠
鳩待峠
富士見峠
三平峠
菅沼・丸沼周辺の峠
金精峠
湯沢峠
四郎峠
君待峠
迦葉山周辺の峠
下牛首峠
中牛首峠
上牛首峠
石神峠
玉原峠
川場・花咲周辺の峠
背嶺峠(花咲峠)
千貫峠
赤倉峠
宇条田峠
老神周辺の峠
コモギ峠
椎坂峠
栗生峠
数坂峠
延間峠
桐生周辺の峠
小倉峠
白葉峠
座間峠
太田の峠
松風峠
四万周辺の峠
わらび峠
木根宿峠
南西の峡
南牧周辺の峠
余地峠
矢沢峠
大上峠
木々岩峠
黒滝峠
焼山峠
多野西奥の峠
十石峠
ぶどう峠
栂峠
三国峠
空峠
秋畑・日野・妹ケ谷周辺の峠
藤田峠
小峠
塩沢峠
名無村峠
黒仁田峠
山ノ神峠
エビヅクリ峠
ほうろく峠
新屋峠(鳥屋峠)
亀穴峠
小梨峠
道祖神峠
温石峠
石神峠
投石峠
万場・神ヶ原周辺の峠
屋久峠
坂丸峠
杉ノ峠
土坂峠
志賀坂峠
塩之沢峠
魚尾峠
大福峠
八倉峠
野栗・野栗沢周辺の峠
野栗峠
オバンドウ峠
赤岩峠
雁坂峠
乙母・住居附周辺の峠
桧沢峠
住居附峠
八倉小峠
地蔵峠
桧峠
吉井の峠
中山峠
月夜野の峠
発坂峠
下仁田の峠
下仁田峠
杖植峠
(熊五郎)