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正丸尾根を歩く 2019年2月24日 晴れ 単独

投稿日 2019年02月25日

 

正丸(しょうまる)は秩父への玄関口。江戸から飯能(はんのう)、吾野(あがの)と高麗川(こまがわ)沿い、いわゆる奥武蔵に入ってきた人たちは、最後に正丸峠(秩父峠)を越えて秩父に入りました。

 

峠は越えた向こう側の地名で呼ぶことが多いので、正丸側からの呼び名は秩父峠で、正丸峠は秩父側からの呼び名です。(なお正丸峠は今の地図上では旧正丸峠となっています。車道が越える方を正丸峠としています。以降地図上の呼び名を使います。)

 

その旧正丸峠(秩父峠)のある尾根、正丸尾根はとりもなおさず奥武蔵と秩父を分ける壁です。奥武蔵側は高麗川。秩父側は横瀬川の水系です。とくに刈場坂峠は高麗川の源流部となっています。旧正丸峠(秩父峠)のほか、長岩峠、正丸峠、サッキョ峠、虚空蔵峠(こくうぞうとうげ)、刈場坂峠(かばざかとうげ)と多くの峠があり、秩父への交通の要衝だったことがわかります。

 

今回は西武秩父線の正丸駅を起点に正丸尾根を伊豆ヶ岳近くの五輪山から刈場坂峠まで北上するかたちで歩いてみました。総歩行距離14.8kmの周回ルートです。多くの登山者は正丸駅から伊豆ヶ岳へ向かいますが、刈場坂峠方面は人が少なく静かな山歩きが楽しめます。あえて言うなら正丸峠のバイクの音がうるさいくらいでしょうか。全体的に大きなアップダウンは無く、一部露岩もあって楽しめるルートです。また刈場坂峠からの展望は圧巻で、下山前の最後の楽しみとなっています。

なお、旧正丸峠近くの三等三角点の点名が「秩父」であることも特記すべき点です。

 

車道のある正丸峠と旧正丸峠の雰囲気はまったく違います。旧正丸峠は昔ながらの峠の雰囲気が残っているようです。正丸からの道は登山道で健在ですが、秩父側の処花(しょはな)からの道も、峠から見る限りはっきりした道形があるようです。機会があれば旧道を歩いてみたいと思います。

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(画像を一度左クリックし、次に右クリックして新しいタブで画像を開いて拡大してご覧ください)

正丸駅基点 五輪山から刈場坂峠までの正丸尾根を歩く

赤実線:歩行GPS軌跡

(国土地理院電子国土地図に情報追加)

 

通過時刻:

西武秩父線正丸駅の有料駐車場 8:42

伊豆ヶ岳、正丸峠分岐 9:11

五輪山 10:10

長岩峠 10:25

小高山 10:29

正丸峠 10:46

川越山(カンゼ山) 三等三角点「秩父」11:20

旧正丸峠(秩父峠) 11:31

親不知 12:02

サッキョ峠 12:07

虚空蔵峠 12:34

牛立ノ久保 13:07

刈場坂峠 13:21

高麗川源流碑 13:49

国道299号正丸トンネル 14:30

西武秩父線正丸駅の有料駐車場 14:55

 

所要時間:6時間10分

総歩行距離:14.8km

 

車を秩父から国道299号に入れ横瀬町の芦ヶ久保から正丸トンネルを抜けて正丸駅に向かいます。駅前の橋を渡って右寄りにある有料駐車場に車を置きました。24時間500円先払いの駐車場です。20台くらい停められるでしょうか。

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西武秩父線正丸駅の有料駐車場

身支度を整えて駅の改札前から斜めで目がくらくらする階段を降りて下に在るトンネルを抜けます。林道が奥へと続いています。点々と民家を見ながら進むと安産地蔵尊があります。さらに沢に沿って進むとまるなか屋という茶店がありますが、3月から営業しますとの貼り紙があり、まだ営業してませんでした。

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五輪山手前の尾根から見た刈場坂峠(中央)

 

道脇に文久四年の石碑を見て進むと舗装林道が右へと入って行きますが馬頭尊の前から左へ山道が入っています。林道は正丸峠への登山道となります。左へ入って植林の中を登って行くと右上方へ道が分かれます。長岩峠へ向かうみちですが、今回は真っすぐの五輪山に向けて進みます。

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小高山からの横瀬の二子山

 

五輪山手前に露岩があります。樹間からこれから行く刈場坂峠が見えています。五輪山は広いピークですが展望はありません。ベンチがあります。すぐ下に伊豆ヶ岳の岩場が見えていますが、今回は逆方向の長岩峠へ向かいます。長岩峠からちょっと登ると小高山です。横瀬の二子山が見えています。小屋の残骸を見て更に進みます。

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正丸峠

茶屋がある バイクが多い

 

正丸尾根上の道は関東ふれあいの道なのでよく整備されており道標も完備していますので迷うことはないと思います。やがて正丸峠の茶屋の横に出ます。正丸峠は舗装林道が通っています。バイクの天国という感じです。けたたましいバイクの音が山にこだましています。峠の反対側のコンクリート階段を登って少し登ると東屋があります。

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正丸尾根からの武甲山

 

平凡な尾根道ですが樹間から武甲山や二子山が見えています。正丸山の小ピークを過ぎて、更に進むと川越山です。ここには三等三角点 秩父 標高 766.36mがあります。すぐ先の旧正丸峠は秩父峠とも呼ばれていたようですが、ここの三角点が「秩父」となっているのは何か関連があるのかも知れません。

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川越山

三等三角点 秩父 標高 766.36m

 

川越山から壊れかけた木の階段を慎重に下ると旧正丸峠です。正丸峠は車道ですからうるさかったのですが、こちらの旧正丸峠はまったくの静寂。野鳥の声しか聞えません。しかも昔からの峠らしい雰囲気が残っています。周りが植林ではなく自然林なので明るい雰囲気です。

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旧正丸峠(秩父峠)から木の階段を上り返して、露岩の痩せ尾根を通過し、親不知の小ピークを経て、ふたつの小ピークを右側に避けてさらに進むと、再び壊れかけた木の階段(こちらは急斜面にロープがかかっています)があります。急坂ですので注意して下ると東屋のある虚空蔵峠です。車道が通過しています。少し車道を歩くと左上に山道が入っています。

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虚空蔵峠から少し進んだところの笹尾根

武甲山と二子山が見える

 

緩やかなササの尾根を進み窪状のところに降りるとやや湿地のようになっています。やがて稜線に出ると左から大野峠からの道と合流します。右にとって少し登ると民家が見えてきます。別荘でしょうか。眺めのよいところに建っています。尾根から道路に降り立つと刈場坂峠です。車道が来ていて駐車場、トイレがある広い峠です。北東のときがわ町側の眺めが最高です。すぐ前に堂平山も見えています。

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虚空蔵峠

東屋と祠がある

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刈場坂峠

 

刈場坂峠から南側の車道を少し歩くと左下に道が降りています。この入り口には道標もなく目立ちません。うっかり見過ごして車道を進んでしまうと虚空蔵峠に戻ってしまいます。山道は沢沿いの道で少々荒れています。水流が出てくると高麗川源流の碑があります。ここから再び林道歩きとなります。

20190224_旧正丸峠12.jpg

高麗川源流の碑

 

刈場坂の集落を見ながらとぼとぼ歩くと国道299号に出合います。正丸トンネルの出口に近いところです。国道沿いに歩いて正丸駅に戻りました。

 

正丸尾根は関東ふれあいの道が通っているため歩きやすい尾根道です。途中すこし露岩がありますが危険なところはありません。道標も完備しています。今回は伊豆ヶ岳近くの五輪山から刈場坂峠へと歩きましたが、この向きの場合刈場坂峠から正丸駅までの長い林道歩きが下りになるのでよいかと思います。また、なにか故障があったら正丸峠、旧正丸峠からエスケープすることも可能です。伊豆ヶ岳は人でいっぱいですが、こちらは静かな山旅が味わえます。

 

 

 

(熊五郎)

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