多羅葉樹                                                                                                                  投稿日 2019年2月13日

 

何でもそうだが、一度視認するとそれ以降けっこう目に飛び込んでくるということがよくある。二月に入ってそうなったのが多羅葉樹(たらようじゅ)。モチノキ科の常緑広葉樹。「葉書」の語源になったと言われている木である。

 

この大きな葉っぱの樹木のことは名前すら知らなかったのだが、先日出かけた慈光寺(埼玉県比企郡ときがわ町の古刹)の境内に、寒さの中でも青々とした葉を茂らせていた。傍にあった説明板を読んで始めて知ったのだ。

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慈光寺の多羅葉樹(右端)

 

そのときは気に掛けることもなく、寺の境内などにある珍しい木で、またここに来ないともう見ることは無いんだろうなと考えていた。

 

ところが、多羅葉樹はけっこう一般民家の庭にあることがわかった。一度知ってしまうと、目が知っているというか何というか。あそこにも、ここにも。真冬でも艶々した大きな葉っぱを付けている木だから、庭にあればすぐにそれと分かる。さっそく近くの家で一枚いただいた。

 

多羅葉樹の葉は、椿の葉を巨大にしたようなもので、表面は艶があり周辺が反ったりしないでほぼ平である。裏面は薄い緑色で艶消し。葉脈は中心の一本だけで、そこから周辺に広がるような葉脈は無い。このためのっぺりしている。

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多羅葉樹の葉の表面

椿に似ているが大きく、反りがほとんど無い

 

この特徴が如何にも葉書として使うのにぴったりという感じだ。実際、この葉に字を書いて葉書として投函しても届くようだが、それはさておき、実際ちょっとした文章を書くことはできる。俳句でもしたためると丁度よさそうだ。

 

「葉書」と言われるのはもうひとつ、驚くなかれ多羅葉樹の葉は爪楊枝のようなものでケガくだけで字が書ける。葉の裏を傷つけると、そこが黒くなって字が浮き出てくるのだ。

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多羅葉樹の葉の裏面

中心以外葉脈がないので字を書きやすい

爪楊枝の丸い方で字を書いて約5分後

 

実際には浮き出てくるまで(黒くなるまで)数分かかるので、長い文章を書くにはちょっと時間がかかるし、慣れないとむずかしい。しかし、はっきりとしており、読むにはまったく問題は無い。

 

日が経つとどう変化するかはまだ分からないが、この葉に歌をしたためて恋人に渡せば、効果抜群ではないだろうか。また、多羅葉樹の葉はほとんど反りが無いためしおりにも使えるのではと思う。

 

 

 

 

(熊五郎)