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関東の主な一等三角点

投稿日 2018年01月13日

山頂などに設置されている三角点。三角点を見るのが楽しみで山に登る人もいるようですが、三角点を見つければ、正にその場所に居るということが実感できるからです。それが一等三角点であれば、その喜びも大きいものです。なぜならその標石は立派で、全国に約1000個しかないからです。

 

三角点は、一等本点、一等補点、二等、三等、そして四等まで5種類あるようで、それらは石柱を埋めて、その位置が示されています。一等三角点の石柱は最も大きく立派です。

 

一等三角点は一辺が約40Kmの三角形を形成するよう設置されており、補点はそれを補うように一辺約25Km間隔で設置されています。
 

これら三角点が設置された頃は、三角測量が基本ですから、当然隣接の三角点は見通せることが必要ですので、多くが眺めのよい山頂に置かれています。近年は測量方法も電子化され、三角測量は行われていないようです。最近、石柱にICタグが埋め込んでいるようですし、石柱ではなくGPSのレシーバを使用した電子基準点も設置されているようです。

 

しかし明治、大正、昭和にかけて先人が苦労して設置した三角点を見ると、昔の苦労が忍ばれ、大切にしなければならない気持ちになります。山頂で時々見かけるのですが、石柱に足を掛けて自慢げに写真に収まる人。ひどい場合は、石柱の上に立って、バランス遊びをする人。腰かけて食事をしている人など。山に登る資格の無い人もときどき見受けます。先人の努力をどう思っているのでしょうか。

 

さて、私は一等三角点の写真を集めたり、好んで登るような趣味はありませんが、できれば登っておきたいという気持ちもあります。そこで関東の一都六県にある一等三角点を勉強するためにも、まとめておくことにしました。写真は随時追加していきます。

 

奥久慈男体山(おくくじなんたいさん) 茨城県 補点 標高 653.82m

一等三角点_奥久慈男体山.jpg

奥久慈男体山の三角点は保護のコンクリートごと傾いている。このような山頂は表土の流出が激しい。また、標石が欠けて痛みも激しいようだ。コンクリートによる保護など努力はしているようだが、継続処置されていないので、手遅れにならないうちになんとかならないものだろうか。そもそも、設置された当時どうだったかは定かではないが、もっと安定した山に設置するべきだったのかも知れない。(一等三角点は火山などの地形的変化の激しい山は避けられると聞くが) それともこれほど人が来る山とは思っていなかったのだろうか。

袈裟丸山(けさまるやま) 栃木県 補点 標高 1878.16m

一等三角点_袈裟丸山.jpg

袈裟丸山は足尾の奥にある山で、近くにある皇海山(すかいさん)よりは登りやすいが、少しアプローチの長い山だ。春のヤシオツツジを求めて登る人も多い。この写真では片隅に写っているだけなので状態はよくわからない。山頂の表土は流出しやすそうな赤土だが、あまり露出したり痛んでいるようには見えない。

 

 

晃石山(てるいしやま) 栃木県 本点No.130 標高 419.06m

一等三角点_晃石山.jpg

ほとんどの山頂がそうであるように、この晃石山でも、人が立ち入るために草が生えず土が露出し、降雨や風によって表土が流されている。昔は頭の部分のみが露出していた。最も大事な基石は地下にあるが、保護石は失われ、代わりに後でコンクリートで四方をべったりと固定されている。こうでもしないと心無い登山者に踏み倒されるだろう。

 

大鳥屋山(おおとやさん) 栃木県 補点 標高 693.06m 

一等三角点_大鳥屋山.jpg

大鳥屋山の山頂はのっぺりと広く、訪れる人も少ないからであろうか、本来の姿を保っているようだ。保護石は地面の下であろうか見えない。標石の表面の白く丸いものはj情報コードを埋め込んだICタグのようなものらしい。この日も風の音だけで、人影はなかった。

 

唐沢山(からさわやま) 群馬県 補点 261.08m

20180131_八王子丘陵03.jpg

群馬、栃木にまたがる足尾山地の南の端に、渡良瀬川で分離された八王子丘陵がある。東西に長い丘陵で、300mに満たないピークが集まっている。唐沢山はそれらピークのひとつで、雑木林に覆われた静かな山頂だ。私が登った1月31日は、冬枯れの木の間から、隣の一等三角点本点 赤城山の地蔵岳を眺めることができた。

 

 

武尊山(ほたかさん) 群馬県 補点 標高 2158.26m

一等三角点_武尊山.jpg

武尊山の三角点はほぼ完ぺきな姿を保っている。周りをセメントで補強しているが、周囲に保護石もあって、正しい姿と思われる。写真のようにお札が置かれている。宗教的な石祠などはこの山頂にないためであろうか、修験者がここで祈りをささげていた。この山頂もあまり広くは無い。少しずつ表土が流出するだろう。

 

 

子持山(こもちやま) 群馬県 補点 標高1296.13m

一等三角点_子持山.jpg

子持山に登ったのは2月だった。人けのない山頂に、ぽつんと三角点があったが、そのころはまだ一等三角点だのという区別は知らなかった。積雪は大したことはなかったが、とにかく寒かった。山頂で温かいものを作ったが、早々に引き上げた。背後の岩のところが一番高いところだが、三角点はその手前にある。

 

 

赤久縄山(あかぐなやま) 群馬県 補点 標高 1522.33m

一等三角点_赤久縄山.jpg

赤久縄山の山頂ものっぺりと広く、草が茂っている。ややもすると草で三角点が行方不明になりそうだ。ほとんど頭の部分も土に隠れて、上面だけが出ている。アイゼンなどで踏みつけないようにしてほしいものだ。傍らに石があるが、保護石かどうかは分からない。

 

 

堂平山(どうだいらさん) 埼玉県 本点 No.146 標高 875.793m

一等三角点_堂平山.jpg

堂平山は車で来れるため家族連れなどでにぎわう山だ。天文台があって公園化されているようなものだ。天文台横にベンチで囲まれた三角点がある。管理されているのか、表土の流出はなさそうだ。

 

 

物見山(ものみやま) 埼玉県 補点 標高 375.44m

一等三角点_物見山.jpg

物見山は日和田山とセットで登られることが多いと思うが、どちらかというと単なる通過点のような感じである。しかも物見山の看板があるのは三角点の場所ではなく手前であるため、三角点のある本来の山頂に気付かずに通過する人も多いと思う。ここの三角点も綺麗に頭だけ出している。

城峯山(じょうみねやま) 埼玉県 補点 標高 1037.72m

一等三角点_城峯山.jpg

城峯山の山頂には展望台を兼ねた電波等がそびえているが、三角点はその基部にある。標石は新しく、年月を経てきたような風化は見られない。近年再埋設されたのであろう。眺めはすばらしく、奥秩父や赤久縄、御荷鉾、両神山、八ヶ岳、蓼科山など360度の展望が得られる。すぐ下に城峯神社の社が見えている。

 

 

この他の三角点の写真は撮れ次第、追加したいと思います。

 

 

 

関東一都六県 主な山の一等三角点 

(参考: 新ハイキング社 「一等三角点の名山と秘境」より)

標高は後日修正されているものもあるが、参考図書のままとした。

 

左から山名、標高 *は本点 下線は本稿に写真あり

 

栃木県 計12 本点 6

稲荷山(いなりやま) 298.43m

*三本槍岳(さんぼんやりだけ) 1916.944m

*高原山(たかはらやま) 1794.85m

*男体山(なんたいさん) 2484.45m

*松倉山(まつくら山) 345.42m

磯山(いそやま) 104.76m

羽賀場山(はがばやま) 774.53

袈裟丸山(けさまるやま) 1878.16m

*八幡山(はちまんやま) 158.663m

大鳥屋山(おおとやさん) 693.06m

*晃石山(てるいしやま) 419.06m

 

茨城県 計22 本点 4

*八溝山(やみぞさん) 1021.839m

栄蔵室(えいぞうむろ) 881.56m

(奥久慈)男体山(おくくじなんたいさん) 653.82m

*高鈴山(たかすずやま) 623.34m

吾国山(わがくにさん) 518.15m

*筑波山(つくばさん) 875.867m

 

群馬県 計8 本点 1

武尊山(ほたかさん) 2158.26m

子持山(こもちやま) 1296.13m

*赤城山(地蔵岳)(あかぎやま) 1673.88m

唐沢山(からさわやま) 261.08m

高田山(たかだやま) 1211.96m

榛名富士(はるなふじ) 1390.27m

赤久縄山(あかぐなやま) 1522.33m

 

埼玉県 計10 本点 1

観音山(かんのんやま) 77.41m

城峯山(じょうみねさん) 1037.72m

*堂平山(どうだいらさん) 875.793m

物見山(ものみやま) 375.44m

 

東京都 計11 本点 5 

雲取山(くもとりやま) 2017.09m

三原山(みはらやま) 603.58m

 

神奈川県 計8 本点 6

*丹沢山(たんざわさん) 1567.06m

神山(かみやま) 1437.90m

 

千葉県 計26 本点 4

鋸山(のこぎりやま) 329.45m

 

 

 

(熊五郎)

コメント(2)

  • 昔は肉眼で他の三角点を見通して観測したのでしょうか?大変な作業ですね。今は測量機器が発達しているので使わないのですか?ものみ山はすぐ近くでてっぺんまで行ったような気がしますが、気づきませんでした。というより知らなかったのでしょうね。 (agewisdom) 2018/1/13(土) 午後 5:59

  • agewisdomさん 昔は見通しで三角測量していたようです。さすがに肉眼では無理かと思いますが。数年前に上映された剣岳点の記の方法ですね。いまはこの方法は使われていないようですが。物見山の三角点は気づかないと通り過ぎてしまいます。(熊五郎) 2018/1/13(土) 午後 9:56

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