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一位ガタワ

投稿日 2017年10月15日

一位ガタワ.jpg

両神山には一位ガタワという場所がある

標高は1400m近い

(国土地理院の電子国土地図に情報追加)

 

 

埼玉県の両神山に「一位ガタワ」という地名がある。

 

単純に地名というべきではないかもしれないが、登山用の地図には載っている。この土地の人たちや、信仰による登攀者(修験道など)が、そう呼び習わしてきた場所ということかもしれない。

 

「タワ」は山岳地図を見ていると結構見つかる。

 

○○タワとか、濁って○○ダワ。ダオとなる場合もあるようだ。今回のように○○ガタワ(ヶタワ)という場合もある。いずれも各所に存在する。

 

東京都の最高峰、雲取山近くには「大ダワ」があるし、奥多摩の笹尾根には「笹ガタワ」がある。

 

タワという場所がなぜ山に多いのか。

 

それは山の弛み(たるみ)、つまりピークとピークの間の鞍部(あんぶ)を指すからである。ピークを強いと見るなら、へこんでいる鞍部は弱い。だからタワは山偏に弱いと書く(嵶)。

 

峠(とうげ)という字もまたタワと読むらしい。では嵶と峠の違いは何か。おそらくその利用され具合だろうと思う。

 

峠は二方以上から道が来て最も高い部分(その山域では比較的低いところ)を越え、二つの集落や村を結ぶ。つまり利用されているタワである。だが嵶は、必ずしも利用されているとは限らないのではないか。単に地形的な特徴を言い表すことにも使うのではないかと思う。遠くの山を指して、「あの嵶あたりで熊を見た....」など。それに対して、峠は、「雨の峠で、荷夫を返した。」「出兵の際、妻が峠まで見送った。」など。人の往来に関わっていると思われる。

 

ところで、一位ガタワの一位とは何か。

 

イチイとは、針葉樹の「イチイ」*ではないかと思う。山の地名というのは非常に振れるものだ。昔から「いちい」と呼んでいたものに「一位」とう字を当てた可能性はあるので、まったく別の意味かもしれないが、とりあえず「一位」と書けば針葉樹のイチイのことだ。

 

だとすれば、両神の一位ガタワ(一位ヶタワ)には、イチイの木があり、このあたりで活躍していた修験道の人たちが、その場所を一位ガタワと呼んだのかも知れない。

 

イチイがあるかどうかは、現地に行って確かめるしかないが、標高が1400m近い一位ガタワは、イチイの生育には問題の無い標高だ。

 

針葉樹のイチイがどうして「一位」と呼ばれるか。それはネットを調べれば出てくる。余談だがイチイはアララギともいうらしく、「水松」と書く。そういえば、これも雲取山近くの長沢背稜に「水松山」あららぎさん(標高1699m)というピークがある。ついでに、大ダワの近くには、イチイの巨樹があるそうだ。

 

両神の一位ガタワにイチイの木があるかどうかは、いずれ調べてみたい。

 

* 一位ガタワの一位の意味についてはいろいろ説はあるかと思います。もし情報があれば加筆したいと思います。

 

 

 

 

(熊五郎)

 

コメント(2)

  • 嵶という字はじめてみました。手弱女、嫋やかな曲線、なんか色っぽい山のカーブみたいでいい感じ(の漢字)ですねえ。あなただけの道であってほしい。私の考察はどうも横道に逸れたようですが。おもしろかったです。 (agewisdom) 2017/10/15(日) 午前 11:56

  • > agewisdomさん たおやかな稜線や盛り上がりを眺めて想像するのは、熊五郎も同じです。 (熊五郎) 2017/10/15(日) 午後 0:24

     

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