富士に思う

投稿日 2016年12月24日

千枚岳からの富士.jpg

南アルプス 千枚小屋から 黎明の富士 2016年夏撮影

 

さまざまな山に登ってその山頂に立ったとき、まず探すのが富士ではないだろうか。関東一円、奥秩父、丹沢の山々、八ヶ岳、北アルプス、南アルプス、中央アルプス、はたまた上越の山からなどなど。 さすがに高い富士は見える範囲も広い。

 

富士は他の山々とは独立して、その姿といい、高さといい、恰好の標的となる。多くの登山者は、他の山々が同定できなくても、富士が見えたら一応満足するようだ。

 

その富士は見る位置によってその姿も変わる。どこから見た富士が好きかは人それぞれだが、私は東海道側、新幹線の車窓などから煙を吐いた煙突を前に広がる裾野の富士はあまり好きではない。宝永の火口のトンガリがアクセントを添えているが、全体的にのっぺりで特徴が無い。それに比べて吉田側、つまり北側から見る富士(北面)は浸食谷の線がキリっと引き締め、凛々しい姿に見える。この浸食谷は規模が大きく、積雪してもくっきり浮かび上がる。このため私の住む北関東からでも真っ白な凛々しい富士の姿を眺めることができる。

 

蛇足だが富士には縦方向の浸食谷がいくつもあり(西側の大沢崩れは有名)、そのためにお中道以外、富士の周囲を大きくへつるような登山道は付けられず、ほとんどはジグザグの道で山頂に至っている。対照的なのは九州鹿児島の開聞岳で、富士に似た山だが、この山には浸食谷がほとんどないため、山のぐるりを蚊取り線香のように回って山頂に達する登山道が付けられている。

 

二番目に好きなのは南アルプスから眺める富士だ。何がいいかというと、二本の角を生やした富士だからだ。(ブログ背景写真参照) 富士の山頂には実は2つの三角点のあるピークがあり、それが二つの角の正体だ。一方は北側の白山岳 3756.2m、もう一方は南西にある剣ヶ峰3775.6mだ。(地図参照) 富士は、最も高い剣ヶ峰の3775.6mをもって標高としている。この富士山頂の2つのトンガリが、火口の南北の端にちょうど収まってかわいい富士の姿を演出している。

富士山頂図.jpg

富士山頂部

(国土地理院電子国土地図に情報追加)

 

 

これも蛇足だが、富士の二つの三角点はいずれも二等三角点である。日本で最も高い場所の三角点は一等三角点ではないのだ。一等三角点は全国1000ヶ所近くあるが、富士よりもよっぽど低い山に点在している。どうして富士の三角点が二等なのか調べてみると面白いかも知れない。

 

ところで、最近富士の山頂に電子基準点が設置された。電子基準点とは三角点の一種だが、従来の三角点のように石を埋めたものではなく、標柱の先にGPSを設置したもので、電子的な三角点だ。地図記号は一般の三角点と区別するために、点付き△の上にアンテナが描かれている。(地図参照) このGPS基準点によって、今では富士がどちらに何センチ動いているかまで観測されている。この標柱の基部は剣ヶ峰近くの3774.9mにある様だが、標柱の高さが約3mあるので、富士の最高点は、このGPS基準点標柱の先っぽ3777.5mなのだそうだが、富士の標高3775.6mは変えないそうだ。人工物で高くしてもねぇ。ってとこか。(昔富士の気象観測所があったときは最高点はもっと高かったことになるが)

 

写真は南アルプスから見た約50km離れた富士だ。南アルプスから眺めるとほとんど2本角の富士が見える。この日は3泊4日の山旅の最終日。千枚岳の中腹にある千枚小屋で、早朝の富士を撮影した。

 

 

 

 

 

(熊五郎)

コメント(2)

  • 難しいことはわかりませんが、列車の窓から富士がみられたとき、飛行機から富士を見下ろせた時、すごく感動します。やっぱり日本人だなあって思う瞬間です。 (agewisdom) 2016/12/24(土) 午後 3:12

  • 人にはそれぞれ故郷の山というのがありますが、富士は日本人の故郷の山ですね。日本人のシンボルです。(熊五郎) 2016/12/24(土) 午後 10:55