八倉峠からの展望(北側)

投稿日 2016年11月18日

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昭和四年の暮れから翌五年の五日にかけて、原 全教氏はその著書「奥秩父回帰」の中の第三回の冬旅で八倉峠(ようくらとうげ)を越えました。

 

氏はこのとき神流川側から八倉峠を越えて下仁田側に降りています。そのときの様子をこう書き記しています。

 

「左右に分かれていた尾根がつづいた地点が八倉峠であった。吹き溜まりの雪の上に雑木が長く影をおとしている。木立のすこし薄れた所から眺めはひらけて、荒船、黒滝、妙義、榛名、浅間から、遠近大小の山々は一望に収まる。茶っぽい谷間に、七久保の西の峰が整正な円錐形に見えるのが印象的だった。」

 

回帰なので思い出して書かれたのだと思いますが、それにしてもこの峠から浅間や妙義、榛名はいいとしても、黒滝山まで同定しているとは、さすがに山の旅人と言わざるを得ません。(上の写真のように黒滝山は前後の景色にまぎれた中にあります)

 

七久保の西の峰とは「小沢岳」と思われますが、昔は名が無かったのか氏が知らなかったのかはわかりません。その鋭峰は今でも「下仁田のピラミッド」と呼ばれています。

 

氏はこのあと七久保から青倉の大岩壁(今は岩壁の谷を林道が通っています)の谷を通過して下仁田へ至っています。 

 

上の写真のように、遠くに浅間山、荒船山、西上州の山々、妙義、荒船、榛名、小さく下仁田の町など、かなり広範囲が一望のもとです。

 

八倉峠はおよそ標高1260mほどの高所の峠です。奥秩父や西上州の地図をじっくり眺め、たとえば秩父の三峰口から下仁田までの50Km以上の道をぬけるとすれば、どこを通ればよいでしょうか。いまでは車を使えば簡単ですが、歩いてそれを果たすとなれば、距離と高低のバランス、宿の有無などで自ずと決まってくると思いますが、その前に昔はそんなに詳細な地図があったわけではないので、標準ルートのようなものがあったのでしょう。

 

とにかく、その行程における一番の高所。それは現在スーパー林道がある御荷鉾、赤久縄の稜線です。1400, 1500mの標高の山々が連なる稜線のどこを越えるかが一番問題であったと考えます。

 

この稜線には杖植峠や、塩沢峠、投石峠などがありますが、どれも標高の高い峠です。その中でも八倉峠は青倉や磐戸経由で下仁田が比較的近いので、好んで使われたのではないかと勝手に考えています。

 

写真で、古人がやっとの思いでこの峠に立ったときの感激を味わってください。

 

 

 

 

 

(熊五郎)

 

コメント(2)

  • 山は神の宿るところ。神に近づいた思いでしょうか。 2016/11/18(金) 午後 9:0

  • 遠い山道を登ってきてここにたどり着いた時、上の写真のような景色を見て、下仁田はまだまだ遠いと感じるかも知れませんが、同時にその景色の雄大さに心打たれるものがあると思います。(熊五郎) 2016/11/19(土) 午後 6:08