金峰山 砂払ノ頭の位置

投稿日 2016年06月25日

今回とり上げたのは、地図上の地名が、現地の道標の位置と違っているというものです。

 

登山をしていると、道標、看板、案内図などさまざまな情報があります。しかしそれははたして正しいでしょうか。疑うことを知らずに、そのまま信じてあらぬ方向に歩いてしまったりすると、命にかかわります。いつも現在地を確認する癖をつけ、目に飛び込んでくる情報と、自分の考えを頭の中で常に戦わせながら歩くべきです。

 

今回は一本の登山道の地名の位置が少しずれているだけのことなので、あまり影響はありませんが、これが分岐の前後やかなり距離のある間違いとなると、取り返しのつかない結果を招くこともあり得ます。

 

とくにピークなどに自作の看板を掛けたりする方がいますが、細心の注意が必要なのは心しておくべきと思います。

20160618_金峰山17.jpg

さて、先日山梨県と長野県にまたがる金峰山(きんぷさん、または、きんぽうさん)に登ったのですが、帰宅してから歩いたルートを詳細に調べていると変なことに気付きました。

 

「砂払ノ頭」の現地の道標の位置と昭文社 山と高原地図「金峯山、甲武信」の地図(以下地図という)上の位置が異なるのです。

 

その道標(写真1)はその位置から金峰山山頂への所要時間1時間、大日小屋へ40分と書かれた道標ですが、合わせて「砂払ノ頭」(実際は「砂払いノ頭」)と書かれています。つまりその道標はそこが「砂払ノ頭」であると示しています。道標は立派なものでおそらく個人が立てたものではありません。

20160618_金峰山18.jpg

写真1 道標のある場所に立つ熊谷のYさん

ここまで樹林だが、ここから上は森林限界を飛び出る

中央に写っている道標に「砂払いノ頭」と記されている

見えていないがYさんの後ろに、右下のような亀の首に似た岩があり好展望

ここの標高は2400mを超えている

 

 

その道標のある場所はちょうど樹林から抜け出て亜高山帯に飛び出る位置にあります。つまり森林限界です。そしてその場所には岩が露出しており、しかも亀の首のような岩が天を指しています。岩の上に登るとよい展望が楽しめます。

 

そのような特徴的な場所ですから、誰もがそこに名前があるものと期待しますが、道標に「砂払ノ頭」とあるので、疑う人はほとんどいないでしょう。

ところがこの岩に登ってこれまで歩いてきた尾根を見下ろすと、下方、大日岩と今居る場所との間に平凡ですが大きなピークが在るのに気付きます。

 

その平凡なピークは樹林に覆われており、おそらく気付かないで通過するくらいのピークですが、地図に2317m 砂払ノ頭と記されているピークです。国土地理院の地図にも2317mと記されている(ただし地名表記は無い)ので、基準点等があるかも知れません。(写真2)

 

道標のある場所からその2317mのピークの沿面距離は約500mで、標高差は約120m。つまり高い道標の場所は約2437mとなります。実際高度計で道標の場所に立つと表示される標高は2400mを超えています。

20160618_金峰山19.jpg

写真2 金峰山山頂付近から見た登山道のある尾根

「砂払ノ頭」と道標のある場所は距離、標高ともに離れているのが分かる

「砂払ノ頭」は樹林に覆われた平凡なピークだが地形的に沢の源頭のピークと言える

 

ところで「~の頭」(~のあたま)という地名は、一般的に沢の源頭部にある山、またはピーク等であることを示します。したがって「砂払ノ頭」は砂払沢の源頭ということになります。ここの地形では北側の砂洗川(砂払ではない)、西側の金山沢の源頭に位置するので、頭と名付けられてもおかしくない位置と地形ですが、残念ながら砂払沢は見当たりません。(砂洗ノ頭の間違いの可能性。逆に砂洗川が砂払川の間違いの可能性もあるかと思います。もっと詳細な地図や現地調査が必要ですが)

 

可能性としては地図が間違っていることも考えられますが、道標の位置は頭というには地形的にむずかしいし、露岩があるもののあまり顕著なピークではない(尾根上の小さな出っ張りに過ぎない)ため頭というにはふさわしくないと考えます。

 

したがって道標設置時の間違いと考えた方がよさそうです。道標に書かれている所要時間は実際と整合がとれるので、2317mのピークに立てるつもりのものが間違って設置されたものではないので、ここを「砂払ノ頭」と思いこんで立てたと考えられます。

 

幸いこの間違い(と、ここでは断定しておきます)は、一本の登山道上で、途中に分岐が無く、500mほどの距離であるため問題になることはなさそうです。ただ、高度計を持っている場合、2317mのはずが2400mを超えているため不思議に感じるでしょうし、地図をよく見ている人は、つぎの千代の吹上の岩稜が近すぎることに気づくでしょう。(地図上で500m以上あるはずが、100mくらい)

 

頭(あたま)は、沢から山を見る人の呼び名と考えられますので、尾根や稜線を辿るハイカーにとってはその地名がどこにあってもあまり問題にはなりません。しかし地図上の位置と異なっていると、まだ着かない?、いつ通り過ぎた?と混乱を生じさせる原因となり、明確に位置が確認できる場所に着くまでその不安が続きます。

 

かくいう私は、道標に「砂払ノ頭」と書いてあることに気付かず、どこだったのかと考えながら歩いてましたが、そのうち千代の吹上に至り、通過したことに気付きました。トホホです。現地で気付かなければ意味がありませんね。では...

 


関連記事:

瑞牆山荘から金峰山

山梨県 金峰山からの眺め

 

 

(熊五郎)