佐藤 節さんの「西上州の山と峠」

投稿日 2016年06年10日

情緒豊かな文体とワクワクさせるような表現力の女性登山家 佐藤 節(みさお)氏。

 

「浮雲の流れにも似て漂える吾が旅心いまもやすまず」 序編より

 

 

有名な著書「西上州の山と峠」は、とくに群馬の南牧村あたり、西上州の山を愛する者にとってはバイブル的存在です。

西上州の山と峠表紙.jpg

佐藤 節著 「西上州の山と峠」

表紙は今は上半分が削られた叶山の水彩画

西上州を愛する登山者のバイブル

 

女性登山家と言いましたが、氏の登山歴はわかりません。ただ、この本を読めば、氏が低山藪山を愛した方であることは確かです。

 

この本の表紙を飾る水彩の山の絵は、今では二度と見ることはできない「叶山」の在りし日の姿です。

 

良質の石灰岩の山として、秩父の武甲山同様に削られて高層ビルなどの材料となり、上半分が無い山体からは昔の姿を想像することさえできませんでしたが、この本の表紙を見て、こんな形の山だったんだと、在りし日の姿をしのんでいます。

叶山.jpg

上部が削られた叶山の今の姿

神流町神ヶ原

 

さて、この「西上州の山と峠」。佐藤氏が歩いた西上州の山々が情緒いっぱいの文章で紹介されています。

 

私は西上州の山に出かける前は必ずこの本をひも解き、関連ページを読んでから出かけるようにしています。その山域の昔の様子が書かれていることがあるので知識の充填という意味のほか、なにより佐藤氏がどのようにその山を表現されているかを味わってからにしたいと思うのです。

 

この本が出版されたのは昭和57年で、昭和40年以降の紀行が収録されていますので、その頃の西上州の様子が読み取れます。今は無い道、今は捨てられた集落、廃業となったロッジなどが文中に見受けられますが、過疎化が進むものの、この時代と同じように、今も西上州の山々は、やさしく登山者を迎え入れてくれているように感じます。

 

編成

序編

神流川南稜編

南稜派出尾根編

神流川北稜編

神流川源流編

佐久編

牧川編

 

 

「山道にひそと咲きし百合の花、氏の歩きし頃の姿とどめつ」(熊五郎)

 

 関連記事: 不虞の山 叶山

 

参考文献:佐藤 節著 新ハイキング社 新ハイキング選書 第一巻 昭和57年初版発行 「西上州の山と峠」

 

 

 

 

(熊五郎)