TS-520のリング検波器

​投稿日 2021年02月13日

TS-520のSSB, CW信号の復調は簡単なリング検波器で行われています。その回路はジェネレーター基板の中に搭載されています。ジェネレーター基板の回路のほとんどは送信に関毛する回路で、受信はリング検波器のみです。

​リング検波器はダイオード4本を使った簡単な回路ですので、シミュレーションしてみることにしました。時間があったら実際に作って実験してみたいと思っています。

TS-520_GENERATOR.jpg

TS-520V ジェネレーター基板 X52-1090-00の回路

上の実物はTS-520Xの基板でこの回路はTS-520Vの回路です。かなり違うので注意!

受信に関係するのはD9,10,11,12のリング復調器のみ

他は送信用の回路(マイクアンプ、コンプレッサ、リング変調器他)

リング検波器は上の回路の右上の一部分 D9, D10, D11, D12の回路です。このほかは送信用の回路です。このリング検波器は、SSBの信号にキャリアを注入してベースバンド信号を取り出す回路です。​パッシブな回路なので電源は不要です。リング検波器のみを取り出すと以下のようになります。

TS-520_GENERATOR_DET.jpg

TS-520Xのリング検波器

RD1, RD2は第二中間周波(IF)入力 CARはキャリア入力

​DETは検波出力

TS-520の場合第二中間周波(以降IF)は3.395000MHzを中心に1.5KHzです。キャリアはCWの場合700Hzのビートを作るため3.395000MHz - 3.394300MHz、LSBでは3.393500MHz、USBは3.396500MHzです。これらはキャリア基板で作られてCAR端子に入力されます。​出力側のR61、C51、C52の回路は3KHzくらいのLPFです。

と、書きましたが回路はどのような周波数の組み合わせでも使えるので、TS-520に合わせる必要はありません。IFとキャリアの差を取り出すだけです。一般的なラジオのようにIFが455KHzの場合はLSBは453.5KHz、USBは456.5KHzを注入してやればよいわけです。

TS-520の場合は第二中間周波はすでにフィルターを通過した信号ですので、3.395000MHz±1.5KHzのスペクトラムがあります。(クリスタル・フィルターでそのほかの信号はカットされている) あとはLSBかUSBによってキャリアを上に注入するか、下に注入するかだけです。CWは3.395000MHzの単一信号の断続ですので、700MHz離れたキャリアとビートをとるだけです。

​参考記事:TS-520の受信周波数構成

TS-520_DET_SIMU.jpg

TS-520のリング検波器 LTSpiceによるシミュレーション

CWを想定して​IF(V1)とキャリア(V2)との差 700Hz 3KHz 5KHz 10KHzを描いてみた

本来ならCAR一定でIFが変わる

5KHZ、10KHzはほとんど減衰している

3KHzももう少し通過させてもよいと思うがこの辺りがトリオのSSB音質を決めている

LTSpiceでCW受信時のシミュレーションしてみました。本来はキャリア(CAR)一定で、IFが変化するのですが、シミュレーションではIFを3.395000MHzに固定し、CARを変数にして3.394300MHz、3.398000MHz、3.340000MHz、3,345000MHzでステップ実行しています。それぞれIFとの差は700Hz、3KHz、5KHz、10KHzですのでそれらがDETから取り出せます。しかしフィルターがあるので、5KHz、10KHzは大きく減衰しています。3KHzもすこし減衰しています。SSBの場合も同フィルターを通過するわけですので、このフィルターの特性がトリオ TS-520のSSB音質を決めています。

​(JF1VRR)