top of page

高周波チョークの特性を計測してみました

投稿日 2019/07/15

長くAPB-3(簡易スペアナ)を寝かせてありましたので、リターンロス・ブリッジを作って高周波チョークの計測をしてみました。

 

APB-3は、CQ出版社が過去に販売した「40MHz/入力レンジ80dBのUSB-FPGA信号処理実験基板」のことで、今回使うのはケースをセットで購入したものです。

 

簡易なスペクトラム・アナライザーやネットワーク・アナライザ、インビーダンス・アナライザ、信号発生器などとして使えます。今回はこのうちインピーダンス・アナライザ機能を使用して高周波チョーク(RFC)の特性を計測してみました。

 

APB-3をインピーダンス・アナライザとして使用するには、リターンロス・ブリッジが必要になりますが、簡単な回路ですので容易に作ることができます。

 

リターンロス・ブリッジを作る

 

CQ出版社の「トロイダル・コア活用百科」にリターンロス・ブリッジの回路例がありますので、それを作ってみることにしました。

高周波チョークの計測1.JPG

名著「トロイダル・コア活用百科」CQ出版

改訂版が出ています

 

必要な部品は、

 

75Ω 1% 1本

100Ω 1% 2本

50Ω 1% 3本 (または100Ω 1% 6本)

フェライトビーズ FB-801 1コ

UEW線 30cm位 2色

BNCソケット 4コ

両端BNCのケーブル 3本

 

リターンロス・ブリッジは高周波回路で、名のとおりブリッジ回路ですから抵抗の精度で性能が決まります。100本入りの袋で購入してテスターで選別しておきます。今回は50Ωが無かったので100Ω 2本を並列にして50Ωを作りました。

高周波チョークの計測2.JPG

リターンロス・ブリッジの回路例

 

タカチの小型アルミケースに、生基板を固定し、そのフラットな銅面に空中配線しました。FB-801にUEW線をバイファイラ巻きしてソータ・バランとしています。入力には-10dBのパッドが入っています。100KHzから100MHzくらいまで使えるようです。目的が高周波チョークの計測なので、これで十分でしょう。

高周波チョークの計測4.JPG

手持ち部品で組んでみたリターンロス・ブリッジ

-10dBのパッドが付いている

FB-801に巻いたソータ・バラン(平衡-不平衡の変換) 100KHzから100MHz

 

 

APB-3での計測の手順

 

リターンロス・ブリッジのRF IN にAPB-3のOUTPUTを、DETECTにAPB-3のINPUTをつないでおきます。

 

APB-3の制御ソフトウェア (c) 2012 OjisanKOubouを起動します。(最新のバージョンがあるかもしれません)

 

測定項目で「インピーダンス・アナライザ」を選び、周波数範囲を0Hzから数MHzにセットします。左と右のY軸の表示項目を選びます。インピーダンス、インダクタンス、キャパシタンス、位相などが選べます。

 

リターンロス・ブリッジのDUTをオープンにして測定し、オープンキャリブレーションを行います。次にDUTをショートして測定し、ショートキャリブレーションを行います。次に、高周波チョークをDUTにつないで測定します。

高周波チョークの計測6.JPG

被測定物の高周波チョーク

左からショート、50Ω抵抗(100Ωx2)、56μHマイクロインダクタ

47μH、1mHラジアル・コイル、ラジオ用RFC

高周波チョークの計測3.JPG

APB-3にリターンロス・ブリッジを接続しDUTに50Ω抵抗を計測中

 

以下、測定結果ですが、リターンロス・ブリッジが作りっぱなしの未校正ですので、測定結果にも大きな誤差を含んでいます。

 

 

50Ωの純抵抗(?)の測定

 

DUTに50Ω 1%の抵抗をつないで測定しました。

高周波チョークの計測7.JPG

100Ωx2並列 1/4W 1% 金属皮膜抵抗

抵抗値と位相

48.6Ωと表示

低域の乱れは無視してください

高周波チョークの計測87.JPG

インダクタンスとキャパシタンス

0ではないがほぼ0

この抵抗では40MHzまでに自己共振点はありませんでした

 

 

56μHのマイクロインダクタの測定

高周波チョークの計測9.JPG

メーカー不明のマイクロ・インダクタ

55.2μHと表示

7.4MHzあたりに自己共振点がある

共振点より高い周波数は容量性

高周波チョークの計測10.JPG

共振点で位相が反転する

 

 

47μHのラジアル・コイルの測定

高周波チョークの計測11.JPG

太陽誘電LHL13NB470K

44.0μHと表示

6.6MHzあたりに自己共振点がある

共振点より高い周波数は容量性

高周波チョークの計測12.JPG

共振点で位相が反転する

 

 

1mHのラジアル・コイルの測定

高周波チョークの計測13.JPG

太陽誘電LHL13NB101K

889.3μHと表示(@250KHz)

1.25MHzあたりに自己共振点がある

共振点より高い周波数は容量性

巻き数が多いので線間容量も大きい

高周波チョークの計測14.JPG

共振点で位相が反転する

 

2.5mHと思われるラジオ用RFCの測定

高周波チョークの計測15.JPG

メーカ不明の2.5mHと思われるRFC

2383.6μHと表示(@250KHz)

1.75MHzあたりに自己共振点がある

共振点より高い周波数は容量性

巻き数が多いが線間容量は意外と小さい(巻き方の効果か?)

高周波チョークの計測16.JPG

共振点で位相が反転する

 

 

 

 

(JF1VRR)

bottom of page