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6AD10 コンパクトロン デュアルコントロールグリッド五極部

投稿日 2016/11/07

6AD10 コンパクトロンはデュアルコントロールグリッド五極部と電力増幅用五極部の異特性複五極管です。6BF11と似ていますが、6BF11の電力増幅用五極部のプレート損失が6.5Wに対して、6AD10のそれは10Wです。ヒータ電流は6BF11が1.2Aなのに対して6AD10は1.05Aです。

6AD10_01.jpg

SYLVANIA製 6AD10 Dissimilar Double Pentode

二つの特性の異なる五極部を封入した複五極管

二つの五極部の内ユニット2は6DT6と同等

 

デュアルコントロールグリッド五極部は、7ピンMT管の6DT6と同等とのことです。

 

コンパクトロンは12ピンの大形形状を利用してさまざまな複合管が作られています。管名の最後の数字(極数)が10や11と多いのはコンパクトロンの複合管といえます。もともとコンパクトロンは真空管としては後発ですので、それまでに開発された利用頻度の多い優秀な球を組み合わせて封入したと考えられます。この6AD10の場合は6DT6と電力増幅五極管を封入した形になっています。6DT6はテレビのFM検波増幅用の球でアメリカではカラーテレビに多く採用されたようです。

 

6DT6と電力増幅用五極管を封入したということは、FM検波と、その後段のスピーカーを鳴らすための電力増幅をこの球一本でこなすことを狙ったものと思われます。残念ながら6AD10を採用したテレビの回路図の手持ちはありませんので確認はできません。

 

電力増幅用五極部は後日とり上げるとして、今回はデュアルコントロールグリッド五極部の静特性を計測してみました。計測方法は6DT6と同じです。さて6AD10のデュアルコントロールグリッド五極部は6DT6と類似しているでしょうか。

 

6DT6については以下をご参照ください。

 

参考記事: 6DT6 デュアルコントロールグリッド五極管

12EZ.jpg

向かって左(Unit 2)がデュアルコントロール五極部

 

6AD10のベースピン配置は12EZです。12EZの球は6AD10のほか、6AD10-A、6BF11、6BY11、6T10、10T10、12AE10、12T10、13V10、17BF11、17BF11-A、18AJ10、24BF11があります。

 

今回はSYLVANIA製の6AD10を計測してみました。6DT6の時と同様に、Eg1(第一制御格子(第一グリッド)電圧)またはEg3(第二制御格子(第三グリッド)電圧)のいずれかをパラメータとし、もう一方を0V、+0.5V、+1.0Vに固定しました。0V固定のグラフは6BF11のデータシートに載っています。Escr(スクリーングリッド電圧)は100V固定とし、各Eg1またはEg3におけるEp -Ip特性を計測しました。

 

グラフは

 

左がEg1をパラメータ(+3.0V から-3.0V変化)とし、Eg3を固定した場合。

右はEg3をパラメータ(+3.0V から-3.0V変化)とし、Eg1を固定した場合。

 

いずれもEscrは100V固定です。

静特性計測回路

 

 

〇 一方のEgが0Vの場合

静特性測定回路.jpg
6AD10_02.jpg
6AD10_05.jpg

                           Eg1: +3V -から -3V Eg3: 0V                                   Eg3: +3V -から -3V Eg1: 0V

〇 一方のEgが+0.5Vの場合

6AD10_03.jpg
6AD10_06.jpg

                           Eg1: +3V -から -3V Eg3: +0.5V                               Eg3: +3V -から -3V Eg1: +0.5V

〇 一方のEgが+1.0Vの場合

6AD10_04.jpg
6AD10_07.jpg

                              Eg1: +3V -から -3V Eg3: +1.0V                                  Eg3: +3V -から -3V Eg1: +1.0V

 

 

 

 

6AD10 SYLVANIA No. 406

 

 

 

 

(JF1VRR)

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