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パワーの出ないTH-45Gを修理する

投稿日 2012/02/07

今年のQSOパーティーで、久しぶりに移動に使用した430MHz 5Wハンディートランシーバ TH-45Gですが、

 

その後パワーが出ていないことが判明。

 

標高約300mから、20-30kmの範囲の局はとれるのですが、40-50kmを超えるとどうもつながりにくいということは感じていました。

 

TH-45GはEL, L, Hの3段階で送信パワーを切り替えることができます。

 

それぞれの電流値とパワーを計測してみました。

 

電源は12Vバッテリ
受信(無音+表示部バックライト消灯) 62mA
送信 EL 117mA 25mW (仕様では20mW)
送信 L  520mA 4mW (仕様では500mW) 
送信 H 1.06A 22mW (仕様では5W)

 

トホホの結果でした。

 

さっそく分解して目視検査を行いましたが、特に異常は見当たりません。

 

パスコンに使われている表面実装電解コンデンサーの不良が多いというTH-45Gですが、それも見かけは問題なさそうです。

TH_45G_1.jpg

写真1 TH-45Gの送信部 パワーモジュールはM67749MR

 

パワーモジュールの入力(ドライバー出力)は20mWありましたので、ドライバー段までは生きています。

 

次にパワーモジュールの各端子の電圧を測定しました。電圧を印加する端子は3本あり、そのうちの2本には、約12V(Vcc)が印加されています。一方はPTTを押したときのみ印加されています。これはOKです。

 

さて、残った1本、つまりバイアス電圧(Vbb)を測定すると、PTTを押しても約0.4Vくらい。

 

原因はこれのようです。

 

そうなればマニュアルに付いてるブロック図とにらめっこ。残念んながら回路図はありません。

 

どんな無線機でもだいたいそうですが、受信時と送信時の電圧を発生させるAVRがあります。TH-45GはPTTを押したとき、つまり送信時は5Tというラインに電圧が出るようです。

 

幸い、基板上に5Tとプリントされたポイント(半田面)があるので、テスターで測ってみると、送信時6Vくらい出ています。

TH_45G_2.jpg

写真2 ほぼ中央(赤い電解コンの右下)に5Tと白でプリントされた半田面からリードを出す

TH_45G_3.jpg

写真3 パワーモジュールのバイアスVbbにつなぐ

 

ブロック図をみると、この5Tの電圧をもとにEL,L,Hに応じてパワーを切り替える回路(オートパワーコントロールAPCってとこでしょうか)を通してパワーモジュール前段の一種のアッテネータを制御しているようです。

 

5Tが出ているのにVbbが出ないのは、このAPC回路が不良と判断できます。

 

しかし、回路図がないので、APCがどこかわかりません。^-^;

 

そこで苦肉の策、5Tを直接Vbbにつなげてみました。

 

そうすると、Lが約0.2W、Hが約2.5W出るようになりました。が、ELは逆に数mWしか出なくなりました。

 

APCをパスしたのでパワーコントロールが正しく働かなくなっているようです。

 

しかし、0.2Wと2.5Wが出れば、たいていのプチ移動には十分です。

 

変調も正常にのっていますので、今回はこれでよしとしました。

 

本格修理は、回路図が入手できたらのお楽しみとします。

TH_45G_4.jpg

写真4 修理後再び計測 Hモードで約2.5強出ている

 

再計測の結果

 

電源は12Vバッテリ
受信(無音+表示部バックライト消灯) 62mA
送信 EL 250mA 数mW (仕様では20mW)
送信 L  640mA 200mW (仕様では500mW) 
送信 H 1.58A 2.5W (仕様では5W)

 

となりました。


 

ずっと使わずにしまってあったTH-45Gですが、使わなくても壊れるものですね。

 

近く6エレの移動用八木アンテナを作って、よりパワーアップする予定です。





 

(JF1VRR)

コメント(4)

  • こんにちは 私のTH-45はLowはいいのですが、Hiは2分位でパワーが出なくなります。ファミマで800円で買った掘り出し物です。開けて見ましたが、私には修理は無理のようです。kazu ] 2012/3/31(土) 午後 4:09

  • kazuさん、2分位でですか。時間的な要素のある故障はちょっとめずらしいですが、まず十分な電流容量のある電源を使用されていることが基本です。ハイパワーで流れる電流で、保護回路が働くような電源であれば、より大容量の電源が必要です。電源がOKであれば、パワー計をお持ちであればパワーモジュールの右端のピンで測ってください。Low/Hiに関わらず20mWくらいあるはずです。Lowが出ているのでたぶん大丈夫でしょう。次にHiのときのバイアス電圧が正常かですが、右から3番目のピンの電圧を測ってください。パワーが出ているときと出ていないときに変化があるか?もしこれがストンと落ちたときにパワーも落ちたらAPC当たりが疑われます。つづく(JF1VRR) 2012/3/31(土) 午後 9:19

  • つづき->また、2番目のピンには送信時に電源電圧くらいの電圧がかかるか。4番目のピンには送受信いずれのときも電源電圧くらいの電圧がかかっているか?そうなっていなければAVR当たりが疑われます。いずれも修理はちょっと難しいと思います。パワーモジュール付近にあるケミコンも関係しているかも知れません。最後にパワーモジュールもあり得ます。パワーが落ちる直前、指で触ってかなり発熱していたらmパワーモジュールの不良か、放熱の不足があり得ます。放熱の不足は一度取り外して、シリコングリスを塗りなおす必要があります。最後にパワーモジュールからアンテナまでのパターンや半田付け不良などを確認してください。あまりお役に立てませんが、頑張ってください。(JF1VRR) 2012/3/31(土) 午後 9:21

  • こんばんは いろいろご教授ありがとうございます。Gタイプでないので中はごちやごちゃで手を入れるには度胸がいります。
    そういえば電池ではhiでもパワーが落ちるだけで切れはしません。状況をよく調べ修理をしてみたいと思います。(いつになるか?)ありがとうございました。
    kazu ] 2012/4/1(日) 午後 10:37

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