PLCによる高精度温度制御

投稿日 2011/12/17

FA(ファクトリオートメーション)で使用されるPLC(Programmable Logic Controller)の中には、精度の高い温度制御ができる温度調節計モジュールがあります。

 

今回は、友人の会社からPA-Panel5(PLCとのユーザインターフェースを構築するソフト)を使用した運転画面の製作依頼を受け、開発環境が整ったので、これを機会に横河電機の温度調節計モジュール モデルCU04-1Nを使用して、実際に温度制御を行ってみました。

PLC_高精度温度制御1.jpg

PLCベースボードにマウントしたモジュール、(左から)電源、CPU、EtherNet, CU04-1N

 

結果は、簡単小さな実験装置で外乱も少ないということもありますが、驚異的?な温度制御が実現できることが確認できました。(あくまでも素人目にはですが) さすがFAの現場で実用される装置だけあるなぁというのが実感です。

 

今回のPLCシステムは、CPUとEtherNetモジュール、およびCU04-1Nで構成する簡単なものです。
モジュール自体はタバコの箱を一回り大きくしたほどのコンパクトさです。この中にPID演算制御などの高度な機能が組み込まれています。

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システム全体 恒温槽は発砲スチロールのトロ箱 PLC 電源等

 

ラダー言語のプログラム開発は、横河電機のWide-Field2を使用します。

 

運転設定や、計測温度の表示、グラフ表示はパソコンで行いますが、これには画面デザインやプログラミングが自由にできるロボスティックウェアのPA-Panel5を使用しました。

 

PA-Panel5は、サーバ、ブラウザ、エディターに分かれており、エディターで画面設計やプログラミングし、それをブラウザー(クライアント)で実行する形です。Visual Basicに似ており、一種のサーバー・クライアントシステムです。実行時はサーバを起動しておきます。サーバーはPLCからレジスタの値を周期的に取り込みます。サーバーとクライアントは別々のPCで起動することもできます。ライセンスユーザ数のクライアントが使えます。

PLC_高精度温度制御3.jpg

システム構成図 

 

開発は以下の手順で進めます。
1. PLCのCPUで実行するプログラムの開発。これはラダー言語です。
2. PA-Panelのサーバ側の設定。 主にタグ登録を行います。
3. PA-Panelのクライアント側の開発。画面設定とプログラミング

 

PLCは昔ながらのリレーシーケンス制御の流れをくんでいますが、マイクロコンピュータで実現されているので、レジスタ群も豊富に用意されています。

 

CU04-1Nも各種設定をレジスタで行い、動作指示をリレーのオン/オフでおこなうという具合です。

 

このリレーやレジスタには、タグ名という名前を付け、プログラムは、このタグ名を用いてデータの出し入れをします。

 

データの流れは以下のようになります。

 

CU04-1Nのレジスタ(温度計測値など) -> CPUのレジスタ -> PA-Panelサーバ -> PA-Panelブラウザ

 

上記のように、CU04-1Nが計測した温度データなどは、CU04-1Nの特定のレジスタに入ります。それをCPU内のレジスタに転送します。これがラダーの役目です。ここまでは物理的なレジスタ名でプログラミングしますが、PA-Panelサーバは、CPUのレジスタとタグを対応付けし、イーサネットを通じてCPUのレジスタの内容をパソコン側に持ってきます。レジスタ内容の変化が伝わるよう、指定周期で読み取ります。PA-Panelクライアントは、タグ名でサーバにアクセスしデータを得て、加工処理、表示を行います。

 

恒温槽は発砲スチロールのトロ箱です。ヒータは自動車の室内灯を利用しました。これを最大10Vで点灯します。今回ヒータの点灯に使用した電圧制御電源は、0から10Vを加えると0から50Vを出力する電源です。一方CU04-1Nの制御出力は最大20mAのカレントループなので、これを100Ωのブリーダ抵抗で2Vに変換し、電源に加えます。これでヒータを最大10Vで点灯することができます。温度センサーはK型熱電対です。

 

温度調節計モジュール CU04-1Nは、4チャネルの温度計測が可能なPID制御モジュールです。計測した温度をPID演算し、適切な制御出力を出します。今回は1チャネルしか使っていません。制御出力はオープンコレクタとアナログ出力が選べますが、オープンコレクタではヒータのオンオフしかできません。アナログ出力は20mAカレントループによる連続値出力です。このためアナログ出力のほうがきめ細かい制御が可能となります。

 

CU04-1Nからは計測温度の他、目標温度、アラーム温度などの設定値が逐次読み出せますので、PA-Panel5により運転/監視画面を作ったり、時事刻々の変化をグラフ表示することも可能です。

PLC_高精度温度制御4.jpg

実行時のPA-Panelブラウザの画面 運転/監視画面とトレンドグラフ 

 

運転は以下の通りです。

 

○予めPID制御に必要なパラメータを設定しておきます。
○現在の温度はPVに表示されています。グラフ上は赤のラインです。
○青いスライダーで目標温度を設定します。目標温度はSVに表示されています。
 グラフでは緑のラインです。
○室温が低いのでバイアス(BS)を1.0℃にしてあります。実際の計測温度に1.0℃下駄をはかせます。
○RUNボタンをクリックして運転を開始します。
○AT STARTボタンをクリックしてオートチューニングを開始します。

 

以上の操作で運転が開始され、ヒータが点灯を始めます。
グラフの青のラインが制御出力のアナログ値です。刻々変化しているのがわかります。

 

最初2,3回大きなオーバーシュートとアンダーシュートがありますが、この部分がチューニングを行っている部分で、モジュール内部でPIDパラメータを計算しています。

 

チューニングが終わるとPIDパラメータが決定され、制御出力が微妙に変化し、計測温度が目標温度にピタッと張り付いて、精密な温度制御が行われています。

 

途中で目標温度(緑のライン)を変更すると、計測温度(赤のライン)が追従します。





 

(JF1VRR)