温度調節計で遊ぶ オートチューニングの巻

投稿日 2011/10/30

横河電機の温度調節計 UT150を入手し、簡単な実験装置を作って遊んでいます。

 

温度調節計はその名のとおり、計測した温度に応じて、ヒータなどを制御できるようになっています。

 

今回の実験装置は発砲スチロールのトロ箱に、ヒータ(熱源)は100Vの豆電球です。

 

これまでオン/オフ制御比例制御という制御方法で温度を一定に保つ実験をしてみました。

 

しかし、この二つの制御方法ではUT150の真価は発揮されません。

 

やはり温度調節計の真髄は「PID制御」です。

 

Pはすでに実験した比例制御(P)。Iは積分制御、Dは微分制御です。

 

つまりPID制御はP+I+Dの組み合わせ制御です。

 

比例制御(P)では、一定の温度を保とうとするパワーが一定であるため、外気温など環境が変わるとそれに追従できずオフセット(残留偏差)が生じます。積分制御はこのオフセットを解消するため、環境変化に追従するようパワーを調整する制御。微分制御は積分制御では追従できない突発的な環境変化に対応します。このようにして目標温度を保つための制御が行われます。

 

PID制御の難しい理論はほかのサイトにまかせるとして、ここでは実際にUT150をPID制御で動かして、どのような挙動になるかを実験してみます。

 

Pは比例帯の温度幅(℃)、Iは積分時間(秒)、Dは微分時間(秒)をパラメータとして与えなければなりませんが、ちょっと考えても制御系の応答性能など、難しい要素がからんでいることがわかります。

 

もっともよい制御(オーバーシュートやハンチングを起こさず、オフセットも生じない制御)が行えるようにこれらのパラメータを設定するには、多くの実験に時間を割き、経験と勘も必要なようです。

 

では、最適値をどのようにして見つけるか?

 

しかし、ご安心を!

 

UT150にはオートチューニング(AT)というモードがあります。

 

ATは、目標温度(SP)をセットすれば、あとは自動的に最適なPIDパラメータとサイクルタイムを求めてくれる便利な機能です。しかしUT150にとって初めは、対象がどのような系かわからないはず。さてどのように最適値を見つけるのでしょうか?

 

実験は以下のように行います。

 

1. ATをオンにして、オートチューニングモードで10分間動かす。(ATのグラフ)
2. ATで求めたPIDパラメータで10分運転する。(①のグラフ)
3. ATで求めたPIDパラメータで10分運転する。(確認) (②のグラフ)

 

下のグラフが結果です。

温度調節計によるPID制御.jpg

ATで求めたPIDパラメータで運転する

 

オートチューニングによってUT150が求めたPIDパラメータの値は以下の通りです。

 

室温:15℃
目標温度(SP): 18℃
P:2.8% 比例帯
I: 280秒 積分時間
D: 30秒 微分時間
CT: 10秒 サイクルタイム

 

サイクルタイムは制御出力(今回の場合リレー接点)をオン/オフする周期です。

 

PIDパラメータの適値を見つけるために要した時間(目標温度付近で安定するまでの時間)は、約8分。
この間2回、目標温度±1℃まで大きく振れて、その後-1℃から徐々に目標温度に近付けていくようです。
制御環境が異なると同じ振る舞いをするかどうかは分かりませんが、この間に系の応答性能を調べPIDパラメータを計算しているようです。

 

ATモードはここでオフになり、その後の制御は求めたPIDパラメータで運転されます。

 

ところで、UT150には「おまかせ制御」という機能があります。確認したわけではありませんが、ATは一回限りのチューニングなのに対し、「おまかせ制御」はATを使いながら運転を続ける機能です。つまり運転中に目標温度を変更したり、環境温度が変わったりした場合に、ATを利用してそれに追従する機能です。しかし、考えてみるとPID制御に期待される能力を考えた場合、これは当然あってしかるべき機能とも言えそうです。






 

(JF1VRR)